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6 働き・住める・活力あるまちづくり
 秋葉原は、かつては無線少年たちにとって、真空管などのラジオ部品を販売する小店舗が林立し、さらに電気製品を商う商店が集まる、好奇心を誘う町であった。
 しかし最近の秋葉原を歩くと、日中こそはパソコンショップやディスカウント店などの賑やかな呼び込みが飛び交い、多くの若者でごった返している。ところが夜の9時も過ぎると、町の灯りも消え、人通りもまばらとなり、昼間の喧騒とはうって変わった顔を示す。東京の都心にあって、この日中と夜間の落差のあまりの大きさにはとても驚かされる。 
 昨年12月、ITセンター用地を買い受ける事業者の公募に当たり、石原知事は「企業と大学が機能的に結びつき、新しい領域での研究開発や人材育成を可能にし、気軽にITも体験できるようにして、今以上に人が集まる拠点にしたい」と抱負を述べた。これは秋葉原地区の再生を図ることで、東京ひいては日本経済の活性化の起爆剤にしたいとの期待の表明である。 
 秋葉原地区では、企業住民をはじめ、地元区の協力のもとに新たなまちづくりへの息吹が芽生えている。ガイドラインに示されたコンセプトの実現は、これらの地元関係者はもとより、新たに進出する事業者などの熱意を結集することによりはじめて可能になる。秋葉原地区をどのように再生できるかは、まさに東京を魅力と活力にあふれる都市として再生できるかのひとつのリーディングケースである。








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