日本財団 図書館


4 地球環境の観測・監視
運輸部門の環境問題について的確な施策を実施するため、長年にわたる地道な観測・監視を通した、大気や海洋の変動状況の正確な把握が必要です。
 海上保安庁では、本州南方から赤道域において測量船による水温、塩分、海流、波浪及び海洋汚染の定常モニタリング観測等が実施され、各種データが収集、蓄積されるとともに、日本海洋データセンターを通じて世界各国とデータの交換が行われています。
 気象庁では、世界的な監視ネットワークの一環として大気、海洋等の観測・監視が実施されています。このうち、世界気象機関(WMO)の全球大気監視計画に沿って、南鳥島(東京都)、綾里(岩手県)、与那国島(沖縄県)、南極昭和基地等において大気中の二酸化炭素などの温室効果ガス濃度、オゾン層等の観測が実施されるとともに、海洋観測船により、温室効果ガスの総合的な観測が行われています。
●東経137度線に沿った二酸化炭素濃度の経年変化
z1053_01.jpg
海洋気象観測船凌風丸による北西太平洋の東経137度線に沿った長期観測定線と1981年から2001年の冬季における同定線上の洋上大気中及び表面海水中の二酸化炭素濃度(北緯3〜30度の平均値)の経年変化点線は、それぞれの長期傾向を示す。
資料:気象庁
 
 また、気象庁は、WMO温室効果ガス世界資料センターとして、世界各地における温室効果ガス観測結果の収集・管理・提供を行うとともに、アジア・北西太平洋地域で観測されたデータの品質向上を目的とするWMO品質保証科学センターの役割も担っています。さらに、2002年度には、WMOアジア太平洋気候センターとして、この地域の気候の監視、予測情報を提供するとともに、わが国の詳細な地球温暖化予測を行うこととしています。
 こうした中、陸域に比べ情報が不足している海洋内部の観測・監視をより詳細かつ全世界的に実現するために、太平洋とその周辺海域の主要国と協力して、「高度海洋監視システム(アルゴ計画)」の構築を、ミレニアムプロジェクトの1つとして推進しています。同計画は、全世界の海洋に約3,000個の中層フロート(海面から水深2,000mまで浮沈する自動観測装置)を展開し、そこから得られる水温、塩分濃度等に関するリアルタイムの情報をもとに、気候に大きく影響する海洋循環等の状況を常時把握するものです。
●二酸化炭素の全球緯度帯別濃度変化
z1053_02.jpg
資料:気象庁








日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION