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2 海洋汚染への対応
 海上交通に起因する環境問題については、国際海事機関(IMO)における世界的な取組や近隣諸国との協力体制の構築といった地域的取組がなされているところですが、国土交通省では以下のような取組を行っています。
(1)大規模油汚染対策
 近年の大規模油汚染の背景には、海上安全・海洋環境保全に関する条約等の基準を満たさない船舶(サブスタンダード船)の存在が大きな要因の一つであることがクローズアップされており、これを排除していくために、国際的船舶データベース(EQUASIS)の構築などの国際的な取組に積極的に参加するとともに、日本に寄港する船舶に対して立ち入り検査を行い、基準を満たしているかどうかを確認するポートステートコントロール(PSC)の強化を行っています。
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救命設備の監督(救命艇)
 
 また、日本周辺において大規模油流出事故が発生した場合に備えて、事故発生後直ちに現場に到着し、迅速に油回収ができるような体制作りが必要です。このため、大型浚渫兼油回収船を全国に配備するなどの取組を進めるとともに、中国、韓国及びロシアなど近隣諸国との協力体制の構築を北西太平洋地域海行動計画(NOWPAP)を通じて進めているところです。
 
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大型浚渫兼油回収船海翔丸
(2)船底塗料問題への対応
 有機スズ(TBT)を含む船底塗料が海に溶け出すことにより、海洋生物に異状が発生する問題について、日本は世界に先がけてこのような塗料の使用を自粛し、さらに、全面的な使用禁止を目指してlMOに対して規制の条約案を提案してきた結果、2001年10月の「船舶についての有害な防汚方法の管理に関する国際会議」においてこの条約が採択されました。
(3)バラスト水中の有害水生生物問題への対応
 船舶バラスト水中に混入するプランクトンなどの各種生物が、本来の生息地でない場所に移動させられることによって生態系に有害な影響を与え、人の健康や経済活動に被害をもたらすとされています。日本は、船舶におけるバラスト水の適切な管理を義務付ける条約案をlMOに対して提案していますが、本件についてはさらに検討を経た上で、2003年に開催予定の国際会議において同条約が採択される予定となっています。
※タンカーなどの船舶が空荷のとぎに安全確保のため、おもしとして積載する海水。
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バラスト水を排出する鉱石運搬船








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