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I.運輸部門における環境をめぐる動き
■地球温暖化問題をめぐる動き
<気候変動枠組条約第6回締約国会議再開会合、第7回会合での合意>
 近年、全世界的に温室効果ガスによる地球温暖化問題がクローズアップされ、温室効果ガスの排出削減に対して積極的に対策を講ずる動きが活発になっています。
 1997年12月には、気候変動枠組条約第3回締約国会議(COP3)において、京都議定書が採択され、我が国は、温室効果ガス排出量を2010年前後に1990年比6%削減することを約束しました。この目標を達成するために、運輸部門では、何も対策を講じなければCO2排出量が1990年比40%増となるところを、二酸化炭素を4,600万トン削減することにより、17%増に抑制することを目標としました。
 こうした中、2001年7月には、ドイツのボンでCOP6再開会合が開催されました。COP6再開会合では、COP6で合意が得られなかった京都メカニズム制度(クリーン開発メカニズム、共同実施排出量取引)の具体化等に関して基本的合意(ボン合意)が得られました。この合意は、京都議定書の2002年発効に向けたモメンタムを高める意味で大きな意義がありました。
 さらに、2001年11月に開催されたCOP7では、ボン合意に基づく法的文書が採択され、これにより、京都議定書の実施に係るルールが決定し、先進諸国等の京都議定書批准が促進される見通しになりました。また、京都メカニズムに関するルールは、地球規模での効果的かつ持続可能な温暖化対策を可能とするために、柔軟かつ幅広い利用を可能とするものになりました。
地球温暖化をめぐるこれまでの交渉経緯
1990年12月 国連総会 気候変動枠組条約作成を決議、条約交渉始まる
1994年3月   気候変動枠組条約発効
1995年3月 第1回締約国会議(COP1) 京都議定書作成作業始まる
1997年12月 第3回締約国会議(COP3) 京都議定書採択
1998年11月 第4回締約国会議(COP4) 京都議定書実施規定をCOP6で決定すべきと決議
2000年11月 第6回締約国会議(COP6) 京都議定書実施規定に関する合意形成に失敗
2001年7月 第6回締約国会議再開会合 京都議定書に関する政治合意(ボン合意)成立
2001年10〜11月 第7回締約国会議(COP7) 京都議定書に関する細目合意(マラケシュ合意)成立
 COP7での合意を受けて同年11月12日、内閣総理大臣を本部長とする地球温暖化対策推進本部が開催され、[1]現行の「地球温暖化対策推進大綱」の見直し、[2]京都議定書の承諾及び締結に必要な国内制度の整備・構築のための準備の本格化、が決定されました。
 また、翌年2月13日に開催された同本部においては、[1]地球温暖化対策の推進に当たっては、経済界の創意工夫を活かし、我が国の経済活性化にもつながる環境と経済の両立に資するような仕組みを目指すこと、[2]国、地方公共団体、事業者及び国民一般が総力を挙げて実施していくこと、[3]2002年から2012年までの間を三つに区分し、節目節目に対策の進捗状況・排出状況等を評価し、その結果を踏まえ必要な見直しを行い、段階的に必要な対策を講じていくこと、が決定されました。
 これを受けて関係省庁においては、目標を達成するための具体的対策の検討を進め、3月19日には、我が国における京都議定書の約束を履行するためのこれからの対策をとりまとめ、新たな地球温暖化対策大綱が同本部において決定されました。
 さらに、3月29日には京都議定書及び「地球温暖化対策の推進に関する法律」の改正案が閣議決定され、国会に提出されています。
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地球温暖化対策推進本部会合 2002年2月13日








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