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(2)EU漁業政策の動向
 TAC管理を始めとする漁業管理の法的システムについては、従来からEUの共通漁業政策が比較法政策的モデルとして紹介されることがあった。とりわけ、2002年には、EUの共通漁業政策の更新が予定されているのであり、TAC制度の将来像を含め、その動向が注目されるところである。
 この点、2001年12月17-18日にブリュッセルで行われたEUの漁業閣僚理事会(Fisheries Council)において、2002年のTACと、第4次漁業構造改善多年度計画(fourth Multi-Annual Guidance Programme)の2002年6月30日までの延長が決定されている。そこでは、TACについて、[1]回復措置を要する資源、[2]回復資源を要する資源と混穫される資源、[3]生態学的制限を超えているその他の資源、[4]その他の資源、という4つのカテゴリーに分けた上で、資源回復を要する魚種について、従来の過大なTAC設定を改め、TACの数量の大幅な削減が行われている。もっとも、漁業閣僚理事会は、EC委員会から提案された原案よりもTACの削減を緩和しており、MAGP IVの延長については、1年延長という原案を6ヶ月延長と短縮している。
 もっとも、EUの漁業政策において問題にされるのは、加盟国間の地域的漁業管理のシステムが問題なのであり、本稿で扱おうとするわが国の純粋に国内法上の漁業管理の法的システムとは文脈が異なることは当然であり、EUの動向を参照するといっても、資源回復を第1に漁業管理を強化した場合に生じる現実への対処のあり方という、現象面・政策面での文脈において、ということになる[2]








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