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VII まとめ
1 本年度の調査研究
(1)自己攪拌型油分散剤の効果的な使用法の調査
 今年度の調査研究においては、海水希釈散布法が分散剤の原液散布に比較して、海水接触により分散剤が有する性能を著しく低下すること、水滴径が大きく流出油面を突き抜け流出油に効果がないこと、泡消火ノズルによる海水希釈散布に種々の問題点が有ることが判り、海水希釈散布法が分散処理法として不適切な散布法であることが定量的に把握することが出来た。
(2)自己攪拌型油分散剤の船舶用散布装置の開発、試作及び改良
 前年度の調査研究の成果を踏まえ自己攪拌型油分散剤の船舶用散布装置の開発、試作及び性能試験並びに試作機の改良を行い、実用に足る試作機(SAS-I)を調査研究の成果物とすることが出来た。
(3)油吸着材との併用に関する調査
 自己攪拌型油分散剤と油吸着材(杉樹皮油吸着材)との併用による両者の持つ機能への影響の調査を実施した。なお、調査要領等は、参考資料として添付した。
2 来年度の調査研究
(1)自己攪拌型油分散剤の効果的な散布方法・散布後の挙動に関する調査 分散剤の原液散布と海水希釈散布のC重油(重質油)に対する分散性能の差に関する系統的試験を実施し、海水希釈散布法から原液直接散布法に切り替える様、防災関係者に広く指導する予定である。
(2)航空機用自己攪拌型油分散剤散布装置に関する調査研究 今年度は、前述のとおり自己攪拌型油分散剤の船舶用散布装置に関する調査研究を行ったところであるが、自己攪拌型分散剤は、従来型に比べて散布量を1/4〜1/5に減量することが出来ることから、船舶からの散布はもとより、航空機からの散布にも有効であると考えられる。よって、来年度は、航空機用散布装置に関する文献調査、現状調査及び基礎調査研究を行うこととする。
(3)油吸着材との併用に関する調査 自己攪拌型油分散剤と油吸着材(杉樹皮油吸着材)との併用による両者の持つ機能への影響の調査を引き続き実施する。
参考文献
「メキシコ石油イクストックI油井流出油に対する分散剤の空中散布」
 (エッソスタンダード石油(株) 竹中重二)
 海上災害防止センター「海上防災」(1981 JUL No.14)
「メキシコにおける油田噴出事故の経過」
 (海上災害防止センター防災訓練所教官 友永幸譲)
 海上災害防止センター「海上防災」(1979 NOV No.4)
「1999国際油流出会議から-化学剤・生物的修復法を中心に-」
 (元東京大学教授 徳田拡士)
 海上災害防止センター「海上防災」(1999 JUL No.102)
「自己攪拌型油分散剤の効果的な使用方法及び散布装置に関する調査研究報告書」
 海上災害防止センター(平成13年3月)








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