II-3 我が国周辺海域における油事故への対応
1 沿岸域での流出油の防除
我が国沿岸では、漁業活動が他国に見られないほど活発である。そのために、分散剤の使用にはことさら神経質である。
分散剤を嫌って、他の防除法の選択に時間を取られ、その間に流出油を漂着させるような事態を招いては、余計に大変である。
自分達の地先の油防除には、分散剤を含めてどのような防除法が適切なのか、場合によっては何もしないほうが環境や生態系に良いのか、などを含めて、油事故へきめこまかな対応策を検討しておくことが肝要である。
2 「ナホトカ号」による油流出油事故
平成9年1月に発生したロシア船籍タンカー「ナホトカ号」による油流出事故では、発生場所が沖合いでかつ荒天が続き、船舶からの防除処理が十分に出来ず、結果として流出油の沿岸漂着を余儀なくされた。
3 沖合いの流出油の分散剤での処理
分散剤の性能アップと対生物毒性低下に伴い、沖合いの流出油を分散剤で処理する機運が強まっているように思われる。
すなわち、今後、「ナホトカ号」の様な外洋における大規模な油流出油事故における油処理の手法としては、船舶からの「自己攪拌型油分散剤」散布はもとより、航空機からの散布も有効であると考えられる。