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布村 健一(昭30.5.14生)
 東京都武蔵野市
 平成7年にNGO医療チームの医師としてフィリピンでの医療活動に参加して以来、日本での病院勤務の傍ら休暇を捻出しながら参加を続け、さらに不足している医療器具を届けるなど国際医療活動に貢献されている。
(推薦者 打木 満喜子)
 
Kenichi Nunomura
(Born on May 14,1955)
Resident of Musashino City, Tokyo
Since an experience in the Philippines as a doctor working on an NGO medical team in 1995, Mr. Nunomura has made it a personal mission to improve healthcare in other parts of the urban and the remote rural areas of the Philippines while working at his hospital in Japan. In many instances, he has successfully contributed to international medical care by delivering medical equipment to areas where it is urgently needed.
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 都内の総合病院で外科医長を勤める布村さんは、平成7年よりフィリピンでのNGO医療チームに度々参加し、僻地医療のミッションツアーやマニラの診療所での無料診療など、フィリピンの各地で活動を行ってきている。僻地医療では、シスターと外科医、内科医、産婦人科医などの医師、ナースが総勢20名ほどのチームを組む。診療は月曜から金曜の5日間、チームの医師と現地医師とが共に朝9時から夜9時過ぎまで貧しい大勢の人々を無料で診察する。僻地のため手術室にはエアコンもない。患者にとっては自分の病気を手術してもらう一生に一度の機会となることもあるため、中には2昼夜をかけて徒歩で手術を受けに来る者もいる。そのため、外科医の布村さんの場合は、時には朝まで手術をこなす。多いときで1週間に144例の手術を行ったが、そんな時は手術台5台をフル回転させる。
 ミッションに参加したきっかけは、昔世話になったフィリピン出身のシスターの要請だった。そのシスターは戦後の日本復興のために来日したが、亡くなる間際に、自分は母国のために尽くすことができなかった、フィリピンのために医療ミッションであなたの力を貸してもらえないか、と布村さんに言い遺された。布村さんは、自分の職業や英語が話せること、現在の体力などを考えると、自分がすぐに役に立てるチャンスだと考えた。
 医療器具も不足気味ということで、ミッションに参加するたびに数々の器具を届け、現地で非常に喜ばれているが、フィリピンの国内情勢不安により寄港寸前に断念したこともある。また僻地ではゲリラが出没しており、キリスト教の医療ミッションであっても、襲われることもある。
 勤務先での外科医長という立場もあり、NGOに出るときは他の医師に代わってもらい、その為に前もって何日も夜勤をこなし、帰って来てからもその穴埋め勤務をしたりと、時間のやりくりは非常に厳しい。しかし、勤務先からは理解が得られており、今後もNGO外科チームヘの参加を考えている。
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ミッションツアーでの手術
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受賞の言葉
 自分の身の丈に合った活動に出会えて幸運でした。現地の人たちの生活に触れて精神的な糧を得たことは、私にとって一生の贈り物です。今後、全国の病院が医療従事者の奉仕活動を奨励・支援してくれることを祈りたいと思います。








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