日本財団 図書館


どれくらいの子どもたちが虐待されているか
 それではどれくらいの子どもたちが虐待されているのでしょうか。アメリカの人口は日本の2倍くらいですが、年間約300万人の虐待通報があり、そのうちで実際には約100万人に虐待が確認されているとのことです。これは子ども100人に1.5人が虐待されていることになります。
 わが国では、平成12年度の全国児童相談所の相談受付件数は18,804件で、年齢では0〜3歳未満19.9%、3歳〜学齢前29.4%、小学生35.1%、中学生11.0%、高校生その他4.6%と、就学前の子どもが半数を占めていました(図−1)。虐待者は実母61.6%、実父23.7%、実父以外の父6.5%、実母以外の母1.6%、その他6.7%と、母親が多くなっていました。
図−1 平成12年度全国児童相談所 相談受付年齢別割合
z0001_16.jpg
 また、小林登による平成12年度厚生科学研究では、社会的介入が必要な虐待は年間3万件と推測されており、18歳未満の人口1000人あたり1.4人、就学前の子どもでみると1000人あたり2.2人の発生と考えられています。
 しかし、大きくなった子どもたちをみると、たとえば非行などの問題で少年院にはいっている子どもの半数が虐待を受けていたとされていますし、学校で頻発しているいじめの裏にも虐待されて育った子どもの問題があるともいわれています。
 まだまだ潜在している虐待は多いと考えられますが、実際にはどの程度から虐待ととらえるのか難しいところがあります。1993年の大阪府保健所の調査では、親が子どもを養育する問題がある事例に保健婦が援助を1年以上行った中で、虐待が把握されたのは15.5%でした(図−2)。援助により問題が解消したのは8.4%にすぎず、大部分が援助が継続されていました。虐待の約4倍が虐待予備軍として援助が必要でしたので、小林の報告と併せて、就学前の子どもでは100人に1人は援助が必要な親子がいると考え、虐待を疑うことをためらわないで関わる必要があります。
図−2 子どもの虐待のピラミッド
z0001_17.jpg








日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION