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子どもの虐待の歴史と取り組み
 虐待は実は新しい社会現象ではありません。わが国では古くから、子どもが生まれても「間引く」、置き去りや川に流すなどの「子捨て」、「親子心中」などが貧困と社会的混乱の中で当たり前にみられましたが、これは現在は虐待ととらえられます。
 また、文化によってもとらえ方に違いがあります。欧米では鞭で子どもを叩くことが少し前まで許容されていましたし、わが国では子どもだけで留守番をさせることもありますが、これは、アメリカでは虐待として通報されてしまいます。
 現在の虐待への気づきと取り組みは、1961年にアメリカの小児科医ケンプが提唱・報告した「殴打された子どもにみられる症候群」から始まりました。
 アメリカではこの報告から関心が高まり、虐待報告義務法、子ども保護機関の設置など様々な取り組みが進みました。
 わが国では1970年代に医学的な報告があり、1980年代の児童相談所等の全国規模の調査がなされ、1990年には大阪、1991年には東京でそれぞれ虐待防止協会、虐待防止センターが設立されて電話相談などの活動が開始されました。
 1996年には全国組織である「日本子どもの虐待防止研究会」が発足し、各地で虐待の発見・援助・予防のためのネットワークができてきています。
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