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海上安全指導員制度
1 海上安全指導員制度とは
 モーターボート、ヨット等の航行による海水浴客、潜水者の死傷事故、漁業操業者及び航路筋での航行妨害、プレジャーボートの海難事故の増加、これら運航者のルール無視とマナーの欠如等に対処し、安全で秩序ある海洋レクリエーションの発展を図り、プレジャーボートを運航する者相互の密接な協力により安全確保に努めるため、海上保安庁では、昭和49年にプレジャーボート関係者の協力を得て、これら民間有志による自主的な安全活動を積極的に支援育成するため、海上安全指導員制度を設け、海上安全指導員の委嘱、安全パトロール艇の指定が行われ、(社)中部小型船安全協会においては、海上保安部署の協力を得て、安全パトロール及び現場指導の事業の大きな柱として、プレジャーボートの安全の確保について寄与しています。
2 海上安全指導員、主任海上安全指導員及び安全パトロール艇の指定又は指名
(1)海上安全指導員の指定
 管区海上保安本部長は、次に揚げる事項を備えた者又はこれと同等以上の適性を有すると管区海上保安本部長が認めた者のうちから、申請により、海上安全指導員を指定しています。
イ 年令25才以上であること。
ロ 法に違反して懲役、禁固又は罰金の刑に処せられ、その執行を受けることがなくなった日から2年を経過していない者でないこと。
ハ 過去2年以内に本庁航行安全課長が定める海事法令に違反して処分を受けていないこと。
ニ 海上安全指導員の指定を取消された日から2年を経過していない者でないこと。
ホ 小型船舶操縦士の資格に係る海技免状を受有していること。
ヘ 養成講習を受けていること。
ト 海上安全指導員となろうとする者が所属する、社団法人中部小型船舶安全協会、小型船交通安全協会等(以下「小安協」という。)の長(以下「小安協の長」という。)の推薦を受けていること。
(2)主任海上安全指導員の指名
 管区海上保安本部長は、海上安全指導員の活動をより計画的・組織的なものとするため、海上安全指導員のうちから、主任海上安全指導員を指名することができる。
 主任海上安全指導員は、原則として次に掲げる要件を備えた海上安全指導員のうちから指名します。
イ 海上安全指導員としての活動年数が10年以上であること。
ロ 海上安全指導員としての活動実績が顕著であること。
ハ 所属小安協等の推薦を受けていること。
(註)主任海上安全指導員は、海上安全指導員の活動を行うもののほか、次に掲げる活動を行います。
(左)安全パトロール活動及び訪船指導の年間計画の策定及びそれぞれの指導内容についての企画
(右)海上安全指導員の行う安全パトロール活動及び訪船指導による指導内容、指導方法等についての教育
(大)海上安全指導員の行う安全教育活動についての指導
(小)海上安全指導員の活動記録の取りまとめ及びまとめた記録内容の所属小安協等の長(所属小安協がないときは直接)を通じての所轄部署長への報告
(3)安全パトロール艇の指定
 管区海上保安本部長は、次の要件を満たす小型船舶のうちから海上安全指導員の行う安全パロール活動を適正かつ確実に行うことができると認めたときは、当該小型船舶の所有の申請により、安全パトロール艇を指定します。
イ 乗船定員が4名以上であること。
ロ 全長が5メートル以上であること。
ハ 巡航速力が10ノット以上であること。
ニ 船舶安全法(昭和8年法律第11号)及び同法に基づく命令の規定に適合していること。
ホ 法定備品の他、次に掲げる装備品を備えていること。 救急箱、メガホン、コンパス、海図、バケツ、フック、発煙筒、シーマーカ、手旗、懐中電灯、ラジオ
(4)海上安全指導員指定証等の交付
 管区海上安全本部長は、海上安全指導員、主任海上安全指導員及び安全パトロール艇を指名又は指定したときは、申請者又は指名された者に対し、次のものを交付又は賃与します。
イ 海上安全指導員の場合
(左)海上安全指導員指定証
(右)海上安全指導員手帳及び腕章
ロ 主任海上安全指導員の場合
(左)主任海上安全指導員指名証
(右)主任海上安全指導員腕章
ニ 安全パトロール艇の場合
(左)安全パトロール艇指定書
(右)安全パトロール旗
(註)申請者は、指定を受けたときは、船体の両げん外部から見やすい位置に「安全パトロール艇」の文字を表示し、指定証及び安全パトロール旗を当該安全パトロール艇に備えて置くこと。
(5)指定又は指名の取消し
 管区海上保安本部長は、海上安全指導員、主任海上安全指導員及び安全パトロール艇が次の各号の一つに該当するときは指定又は指名を取消します。
イ 海上安全指導員の場合
(左)2(1)ロ若しくは2(1)ハの規定に該当しなくなったとき
(右)有効な海技免状を受有していないこととなったとき
(大)海上安全指導員が60年通達の規定に違反したとき
(小)海上保安官の指示に従わないとき
(上)海上安全指導員としての活動を行うに当たり非行があったとき
(中)海上安全指導員としておくことが不適当であると認める事由があるとき
ロ 主任海上安全指導員の場合
主任海上安全指導員としておくことが不適当であると認める事由があるとき
ハ 安全パトロール艇の場合
(左)安全パトロール艇が安全パトロール艇として用いることが不適当となったとき
(右)使用を止めたとき
(大)所有者が変更されたとき
(小)安全パトロール艇としておくことが不適当であると認められる事由があるとき
(6)海上安全指導員指定証等の返納
 指定又は指名を取消されたときは、海上安全指導員指定証、海上安全指導員手帳、腕章、主任海上安全指導員腕章、安全パトロール艇指定書及びパトロール旗を返納すること。
3 第四管区海上保安本部及び各海上保安部長の援助体制
 第四管区海上保安本部、各海上保安部署では、海上安全指導員の皆様がプレジャーボートに対する安全運航の指導を積極的に推進されていることを高く評価しております。海上安全指導員の業務実施にあたり、第四管区海上保安本部及び各海上保安部署においては、次の事項に重点を置いて援助します。
(1)海上安全指導員制度の周知
 海上安全指導員及び安全パトロール艇一覧表を作成し、管内の海上保安部署、主要マリーナ等に指示し、または報道機関を通じ海上安全指導員の周知につとめる。
(2)海上保安官の安全パトロール艇への同乗等
 安全パトロール艇には、できる限り海上保安官を同乗させ、また、プレジャーボートの活動海域には巡視船艇の配備を考慮する。
(3)社団法人中部小型船安全協会への援助
 (社)中部小型船安全協会は、協会の事業として、海上安全指導員による安全パトロール及び現場指導を運営しており、これが定着化と安全活動の効果的な推進を図る。
(4)表彰
 この業務に精励し、海上安全指導員の模範とすべき者、または、功績顕著な者等は次の基準により表彰する。
 
長官表彰 本部長表彰 部長表彰
指定年数15年以上で 指定年数10年以上で 指定年数5年以上で
活動回数150回以上の者 活動回数100回以上の者 活動回数75回以上の者








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