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測線C−2 守山市木浜 
淡海財団植栽群落(消波あり)
ヨシの形状特性等
 ヨシ茎個体総数は334本であり、平均茎個体数密度はコドラート平均で85.4本/m2であった。平均形状は、茎高が157.8cm、草丈が187.3cm、茎径が7.3mmであった。全16測線中で最も平均茎個体数密度が大きいが、草丈は全地区総平均値(200.6cm)より小さい。1m2あたりの平均湿重量は2382g、乾重量1256gと大きいが、ヨシ1本あたりでは平均湿重量27.3g、乾重量12.8gと総平均値程度であった。
 測線の断面変化を見ると、基点から3m付近より密度の高いヨシが生育し7.1m地点と25.3m地点では100本/m2を超えたが、20m地点の前後にはヨシのほとんど生育しない空洞区間も認められた。
植生の概況
 岸は石畳であり、シロネ・アレチウリ・チクゴスズメノヒエ等が繁茂していた。岸から沖へ向けて、チクゴスズメノヒエ、ヨシ、ウキヤガラ、ヨシ優占区間と続いている。このルートでは、ウキヤガラの出現が顕著であった。
 ヨシ群落内の混生種はウキヤガラ・チクゴスズメノヒエ・シロネ等、全般に少なかった。
地形・土質の概況
 基点杭から3.0mまでは石畳である。汀線は西を向いており、湖底地形の縦断面形状は、27mの蛇篭まではほぼ平坦面、それより沖合もほぼ平坦面であった。
 湖底堆積物の土質は、27mの蛇篭までの平坦面の表層は「砂+シルト」、下層は「砂」であり、それより沖合は「砂+シルト」であった。
 湖底堆積物の硬さは、蛇篭までの平坦面の「砂+シルト」層では「軟らかい〜硬い」、「砂」層では「硬い」であり、それより沖合の「砂+シルト」層では「中位の〜硬い」であった。
 7.1m地点において確認されたヨシの根域は、深度0.05〜0.25m、土質「砂+シルト」、硬さ「軟らかい〜硬い」であり、25.3m地点において確認されたヨシの根域は、深度0.05〜0.30m、土質「砂+シルト」、硬さは「硬い」であった。
底質・粒度の概況
 ヨシ帯内では陸から沖に向けて、強熱減量と全窒素において若干の減少傾向がみられ、IL/N比が若干上昇する分布を示した。このことより、本測線では沖側において有機物の供給速度が若干多いか無機化速度が若干低いことが示唆された。全リンは沖に向けて一定であり、本測線の底質がリン酸の難溶化を生じやすい可能性が示唆された。また、酸化還元電位(ORP)からみる底質の状態は、沖に向けて低下する傾向(陸側+161mV、沖側+18mV)であり、硫化物が沖側で高い状況であった。このことにより、沖側において底質が継続的に嫌気的になるような環境である可能性が示唆された。また、粒度分布は沖側において、細砂(0.074〜0.42mm)の構成が減少する傾向が見られた。
 群落外沖合の地点における化学的性状は、ヨシ帯内より強熱減量、全窒素及び全リンが小さい値を示しており、有機物の堆積が少ない状況であった。また、粒度分布では、ヨシ帯内より粒径分布が小さくなっていた。
 本測線の底質の状況について相対的に比較すると、ヨシ帯内では陸側が沖側よりも有機物の蓄積し易い底質環境であり、沖合ではヨシ帯より有機物含有量が少ない底質であった。また、本測線のヨシ帯と沖合の地点間には防波柵があり、地盤高が防波策を境界に約0.7m低下していたことから、ヨシ帯内、外の底質の連続性は考えにくい。ヨシ帯内の陸側の地盤高(−0.6m)と沖側の地盤高(−0.5m)が基点からの距離に対して逆転していた。
 
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図3.4.20 C−2測線の植生・地質断面及びヨシの形状特性
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図3.4.21 C−2測線の底質及び粒度
〈備考〉横軸は基点からの距離(m)








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