ヨシ茎個体総数は76本であり、平均茎個体数密度はコドラート平均で29.2本/m²であった。平均形状は、茎高が189.0cm、草丈が210.5cm、茎径が7.1mmであった。茎個体数密度は、B地区の中で最小であり、全地区全測線の中でもD−2測線に次いで2番目に小さい値であった。1m²あたりの平均湿重量は925g、乾重量は268g、ヨシ1本あたりの平均湿重量は33.4g、乾重量は9.3gであり、1本あたり湿重量を覗けば、全地区総平均(湿重量1506g/m²、乾重量665g/m²、12.7g/本)と比べて著しく低い値であった。

　測線の断面変化を見ると、過去にヨシ植栽がなされた2〜39mほどの区間のうち、ヨシの生育が見られたのは3〜22m区間のみであり、かつ茎密度も25〜50本/m²前後とあまり高いとは言えない状況にあった。草丈と茎径は、茎密度が相対的に低い7〜15m区間においてやや増加する傾向が見られた。

　岸は石畳である。岸から沖へ向けて、セイタカアワダチソウ、ヨシ、アメリカセンダングサ優占区間と続く。ヨシ群落内の混生種はアメリカセンダングサ・シロバナサクラタデ・オオオナモミ等、比較的多かった。

　基点杭から1.9mまでは石畳である。汀線は南南西を向いており、湖底地形の縦断面形状は22mまではほぼ平坦面(12m地点に微凹地)、それより沖合は凹形斜面であった。　遷急点は22m付近にあり、この点を境にして湖底の勾配はほぼ水平→4.8°に変化した。また、遷緩点は30m付近にあり、湖底の勾配は4.8。→2.1°に変化した。　湖底堆積物の土質は、岸から沖合に向かって一様に「砂」であるが、30m〜45m地点間では「シルト」の薄層(厚さ0.1〜0.2m)を狭在していた。

　湖底堆積物の硬さは、「砂」層の表層(深度0〜0.2m)では「軟らかい〜硬い」、下層(深度0.2〜0.5m)では「硬い」であり、30m〜45m地点間の「シルト」の薄層では「非常に軟らかい〜中位の」であった。湖底堆積物の厚さは、24m地点から沖合に向かって徐々に厚くなる傾向が見られた。

　14.4m地点において確認されたヨシの根域は、深度0.15〜0.35m、土質「砂」、硬さ「中位の〜硬い」であった。

　ヨシ帯内では陸から沖に向けて、強熱減量、全窒素、全リン及び硫化物がほぼ同濃度であり、均一な底質環境であった。また、酸化還元電位(ORP)からみる底質の状態は、陸側(＋272mV)、沖側(＋283mV)とも好気的環境であった。粒度分布は陸〜沖間の差異は明確では無かった。

　群落外沖合の地点における化学的性状は、ヨシ帯内より強熱減量、全窒素及び全リンがわずかに大きい値を示しており、有機物の堆積が進んでいる状況であった。また、粒度分布では、ヨシ帯内より粒径幅が広く、シルト質未満の粒子を約20％含む組成(ヨシ帯内ではシルト質未満は3％以下)であった。

　本測線の底質の状況について相対的に比較すると、ヨシ帯内では陸側から沖に向けてほぼ一定の底質環境であるが、沖合では有機物が堆積しやすい環境にあると推察された。