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測線A−3 伯母川北 
淡海財団植栽群落(消波なし)
ヨシの形状特性等
 ヨシ茎個体総数は115本であり、平均茎個体数密度はコドラート平均で36.1本/m2であった。平均形状は、平均茎高が179.1cm、平均草丈が213.6cm、平均茎径は5.5mmであった。茎個体数密度は全地区総平均値(51.6本/m2)を大幅に下回っているが、形状は平均的であった。1m2あたりの平均湿重量は1134g、乾重量は696gであり、ヨシ1本あたりでは平均湿重量が28.9g、乾重量が17.6gであった。いずれも全地区総平均に比較的近い値である。
 測線の断面変化を見ると、基点から10m付近までの過去のヨシ植栽帯の区間にはヨシの生育はほとんど見られず、これよりも沖側の10〜20m区間と30mを超えた付近にヨシは分布した。30mを超えたあたりのヨシ茎個体数密度は76本/m2と比較的多数を数えた。草丈と茎径は変動が大きく、草丈350cmのコドラートも見られた。
植生の概況
 岸は石畳であり、ジュズダマ・アレチウリが散見される。岸から沖へ向けて、オギーアレチウリ、メヒシバ、ヨシ、マコモ、フトイの順で優占種の交代する状況が認められた。特に、オギーアレチウリの優占区間は荒れた様相を呈しており、景観的にもインパクトが高い。メヒシバ優占区間は硬い砂質地盤である。ヨシ群落内の混生種はアメリカセンダングサ・メヒシバ等、比較的少なかった。
地形・土質の概況
 基点杭から2.0mまでは石畳である。汀線は西北西に向いており、湖底地形の縦断面形状は直線斜面で、湖底の勾配は2.9°であった。
 湖底堆積物の土質は、32m付近までは表層が「砂」、下層が「砂+シルト」、最下層が「砂」であり、それより沖合は「砂+シルト」主体であった。
 湖底堆積物の硬さは、32m付近までの表層の「砂」層では「軟らかい〜硬い」、下層の「砂+シルト」層では「中位の〜硬い」、最下層の「砂」層では「中位の〜硬い」であり、それより沖合の「砂+シルト」層では「軟らかい〜硬い」であった。
 8.5m地点において確認されたヨシの根域は、深度0.05〜0.33m、土質「砂」、硬さ「硬い」であり、17.6m地点において確認されたヨシの根域は、深度0.05〜0.25m、土質「砂」、硬さ「軟らかい〜硬い」であった。
底質・粒度の概況
 ヨシ帯内では陸から沖に向けて、強熱減量、全窒素、全リン及びIL/N比が陸域から沖域にかけてほぼ一定であり、本測線では有機物の陸〜沖間の有機物の堆積と分解の収支が同程度であると考えられた。また、酸化還元電位(ORP)からみる底質の状態は、陸域では好気的(+379mV)であるが、沖に向けて低下し、沖域では−42mVと陸域に比べ嫌気的な方向性(嫌気的とは言えないレベル)にあった。また、粒度分布では陸域において、約90%の粒子が0.2〜1.0mmの狭い範囲に分布する粒径幅の狭い組成であったが、沖に向かって粒径幅が広がる傾向がみられた。
 群落外沖合の地点における化学的性状は、ヨシ帯内より強熱減量、全窒素及び全リンが大きい値を示しており、粒度分布では、ヨシ帯内より粒径幅が広く、シルト質未満の粒子を約20%含む組成であった。IL/N比はヨシ帯内と同程度であった。これらのことより、沖合の調査地点では、ヨシ帯内に比べて有機物の堆積速度が早いが、無機化の状態は同程度であると考えられた。
 本測線の底質は、陸側から沖に向けて有機物の堆積程度はほぼ一定の環境であるが、沖合では有機物が堆積しやすい環境であることが推察された。
 
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図3.4.6 A−3測線の植生・地質断面及びヨシの形状特性
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図3.4.7 A−3測線の底質及び粒度
〈備考〉横軸は基点からの距離(m)








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