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最大のターゲット それはインド
インドは世界の患者の65%(38万4,240人)を抱えており、新患者数も世界の78%(55万9,938人)にあたります。その中でもインド全体(28州、7ユニオン)の患者数の9割以上を占める11州は、患者数が1万人を越える重点強化州と指定され、インドにおけるハンセン病制圧ならびに世界的な制圧達成の鍵となっています。
 インドはハンセン病と思われる最古の記述の一つが見つかった国ですが、現在もなお、世界最大の問題を抱えています。MDT(多剤併用療法)の普及が遅れた州もありますが、強い意志をもってハンセン病制圧に乗り出しました。
 ある州では、戸別訪問によって、2,900万人に調査を実施した結果、新しい患者が6万2,000人以上登録され、正規の手続きを経て治療を受けました。
 ハンセン病制圧に成功した国々の経験からも、ハンセン病制圧活動を一般的な保健サービスに統合することが、非常に重要であることがわかります。
 また、この病気にかかわるスティグマ(社会的汚名)をなくす努力をしなければ、患者が身体に異常を見つけても、早期に治療を受けにくることができません。
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■村落での啓発活動
 
 
インドでは、こうした努力がいま行なわれています。
 2000年1月、インドでおそらく世界最大規模のメディア・キャンペーンが開始されました。目標はハンセン病制圧のスピードアップと、偏見の打破です。膨大な人口に伝えるために、テレビのスポット広告、ラジオのコマーシャル、映画、スローガンを掲げた横断幕、大規模な集会から村々での小さな集会、家々の壁絵、バスや人力車のステッカー、はては人々が忙しく行き交う街頭やバザールでマイクを通して呼びかけるなど、あらゆる手段を使っています。
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■ハンセン病専門家による早期発見、早期治療
 
 
重点強化11州における新患者数
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分布図の数字は11州の新患者数(2000年)を表す。
 
 
重点強化11州(登録患者数及び新患者数が10,000人以上)のハンセン病の状況
州名 登録患者数
(人)
罹患率
1万人あたり(人)
新患者数
(人)
新患者率
10万人あたり(人)
ビハール 77,330 9.3 101,607 122.6
ジャールカンド 29,349 10.9 35,565 132.2
オリッサ 25,871 7.0 45,216 123.2
タミルナードゥ 25,449 4.1 47,064 75.8
ウッタルプラデーシュ 71,931 4.3 86,304 52.0
アーンドラプラデーシュ 28,567 3.8 67,230 88.8
マディアプラデーシュ 15,002 2.5 19,256 31.9
ウェストベンガル 22,396 2.8 35,666 44.5
カルナータカ 11,499 2.2 17,842 33.8
チャッティースガル 16,058 7.7 22,343 107.4
マハーラーシュトラ 29,947 3.1 44,209 45.7
■出典:WHO Weekly epidemiological record,4 January 2002








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