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[9] 練習船の操縦性能に関する模型実験と実海域実験
上野道雄、二村正、宮崎英樹、藤原敏文、
野中晃二(船研)、矢吹英雄(航海訓練所)
 
 船内LANによる情報処理システムを装備した練習船に関する拘束模型実験を実施した。そして、これを基にしたシミュレーション計算の有効性を自由航走模型実験結果との比較によって検証した。さらに、実海域実験データとシミュレーション計算結果とを比較検討することによって、本練習船の船内LANによる情報処理システムによって得られたデータの信頼性を検証し、実海域の風と潮流の影響下における実船の操縦運動の評価をおこなった。

風および潮流下における左35度旋回(実船)

[10] 地震による水中圧縮波の干渉を考慮した自由表面変位に関する研究(英文)
張 来大(広大院)、肥後 靖(広大)
 
 地震による海底地盤振動時には、海水の圧縮性による粗密波の伝播以外に水面の変位による自由表面波の伝播が同時に起こる。従来、これらは周波数の異なる現象として分離して扱われていたが、本研究では、この二つの現象を同時に扱うことにより、それらの干渉について検討した。
 現象は有限時間のものであるので、三次元の時間領域境界要素法を用いて数値的に検討している。その結果、高周波数では自由表面変位の影響は無視できるが、剛体浮体が存在しているときには、浮体、自由表面、水中圧縮性が相互に干渉し、自由表面変位が大きくなることが分かった。

海底地盤振動による自由表面変位

[11] 海震に伴う海底地盤の振動特性に関する基礎的研究
別所正利、前田久明(東大)、増田光一(日大)、高村浩彰(西松建設)
 
 本報告では、「海震」の基本的性質を把握するために、海底地盤を弾性体と仮定して、海震による動水圧が作用した場合の地盤状態を検討することを目的とする。このため、原子炉建て屋並びに群杭等の地震時挙動解析で実績を有する半無限均質弾性体のグリーン関数の特性(下図参照)を紹介するとともに、海底地盤に動水圧が作用した場合の地盤内変位の算定方法について述べた。さらに、地震波が地盤・水中を伝播する現象を考慮した海震問題における入射波ポテンシャルを誘導し、その特性についても報告した。

地盤面中心を点加振した場合の鉛直変位を表すグリーン関数の地盤面上における挙動

[12] 浮体式構造物の高周波数振動による動水圧と海底地盤の弾性変形特性に関する基礎的研究
別所正利、前田久明(東大)、増田光一(日大)、高村浩彰(西松建設)
 
 本報告では、「海震」の基本的性質を把握するために、海震によって浮体式構造物に作用する動水圧の解析に際し、半無限均質弾性体を仮定した海底地盤を考慮した新しい境界積分方程式を誘導した。さらに、浮体式構造物に作用するラディエーション流体力に及ぼす海底地盤の影響について検討した。その結果、海底地盤面における境界条件の相違によって、動水圧特性は大きく変化し、硬い地盤を想定しても地盤内に吸収されるエネルギーが大きいことがわかった。

ラディエーション流体力の特性(B=1,000m,h=20m)








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