日本財団 図書館


平成13年春季講演論文概要
[1] 水面透過光分布を用いた船体まわりの散乱波の解析(英文)
Erwandi(阪大院)、鈴木敏夫(阪大)
 
 本報は、固定された船体が波の中を進行する際に生じる反射・回折波(散乱波)の解析を、水面透過光分布法により実施した結果を述べたもので、船の動揺により発生する発散波を取り扱った前報の続報である。可視化されたデータ上で入射波を除き、散乱波成分を得ることができるため、それを解析してコチン関数を求めることが出来る。従来の縦切り法の結果と比較して図に示す。両者は角度の小さい素成波成分でよく一致している。100度を越える角度では差が大きいが、散乱波による付加抵抗への寄与はあまり大きくない。

Kochin Function of Diffraction Waves

[2] 極地型及び海洋構造物まわりの非線形性波運動の数値シミュレーション(英文)
朴 鍾千、宮田秀明(東大)
 
 The present paper describes the numerical estimation of maximum wave run-up and higher-harmonic forces on an Arctic and offshore structures using a Numerical Wave Tank (NWT) simulation technique based on Navier-Stokes (NS) and a modified marker-and cell (MAC) algorithm.
 The results by NS-MAC NWT simulation for an Arctic structure are compared to the predictions of linear diffraction analysis, based on an integral equation method for vertical axisymmetric structures. For an offshore structure the simulated results are also compared with those of other numerical methods and measured data.

Time-sequential wave configuration around an octagonal-shaped Arctic structue
[3] 環状構造体による波の散乱問題について
坪郷 尚(大阪府大)
 
 本研究では、波のエネルギを1点に集中させることを目的に、同じ中心を持つ多数の円環による波の散乱問題について線形長波理論を用いた定式化ならびに計算を行った。主に円環群の中心部での、波面とそのFourier-Bessel成分を調べたが、そこでは円環群による波の相互干渉効果よりもむしろ最小円環による定在波が水面増幅に効くようである。よって円環数は1つでよく、その内径を波周波数にあわせて制御すれば比較的小さな領域に波のエネルギを集めることができるといえよう。
 
[4] 不規則横波中におけるインドネシアの旅客カーフェリーの転覆確率―第2報―(英文)
ブディ・イスカンダール、梅田直哉(阪大)、浜本剛実(福井工大)
 
 横波状態での1年あたりの転覆確率を計算する、第1報で示した方法について、用いる波浪統計や船舶特性により実際的なデータを適用した。その結果、インドネシアのフェリーについての転覆確率の計算値は、同地域の最近の転覆事故発生率とほぼ一致した。また、車両区画の開口部を閉鎖することにより、その転覆の危険性はほぼ取り除くことができることを示した。

インドネシア水域における転覆確率計算値(Pannual)と統計による事故率の比較例。








日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION