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(2) 処理システム
 処理システムについては、[1]既存のリサイクルルート、[2]バイオ・ディーゼル燃料、[3]石けんづくり教室等での利用の3つの代替案を提示した。[3]石けんづくり教室等での利用については、他の代替案との併用が可能である。
 
[1] 既存のリサイクルルート
 
代替案 代替案1 既存のリサイクルルート
概要 ・飲食店や食品製造業から排出される事業系の食用廃油については、品質が一定であること、1カ所からまとまった量が排出されることから、既にリサイクルが行われている。このような事業系のリサイクルルートを使用して、油脂会社、塗料会社、飼料会社などで、石けんや塗料、飼料の原料として利用する。
メリット ・既に構築されているリサイクルシステムを利用するため、新たなシステムの構築は不用である。
デメリット ・事業系の食用廃油のリサイクルについては、石けんや飼料などの需要が先細っているため、供給が過剰な状態となっている。このようなルートに、新たに家庭系の食用廃油を加えられるかどうかが課題である。
・事業系に比べて、各家庭から排出される廃油の品質にばらつきがあり、1カ所から排出される量が少ないことから、既存のリサイクルルートでリサイクル可能かどうかを検討する必要がある。
・既存のリサイクルルートに乗せるため、松山市から地理的に遠い場所でリサイクルを行うようになるため、市民の関心が低く、PR・啓発効果が希薄になる恐れがある。
先進事例 ・民間の廃油回収事業者が実施している。
再生品の使用 ・先細りつつある需要を拡大するため、再生品である石けんや飼料などを行政が率先して購入したり、市民や事業所に購入を働きかけるなどの、需要拡大の努力が必要である。
 
[2] バイオ・ディーゼル燃料
 
代替案 代替案2 バイオ・ディーゼル燃料
概要 ・食用廃油に少量のグリセリン等を添加して加熱することで、軽油の代替燃料であるバイオ・ディーゼル燃料に改質する技術がある。この技術を用いて、食用廃油をバイオ・ディーゼル燃料に転換し、清掃車や公用車の軽油の代替燃料として利用する。
メリット ・軽油の代替燃料として使用するため、松山市の清掃車や公用車だけでも十分に使い切るだけの需要がある。
・バイオ・ディーゼル燃料を使用することにより、化石燃料である石油の消費を節減できる。
・軽油に比べて、窒素酸化物や煤じんの発生が少ないため、大気汚染の防止が期待できる。
・公用車に使用することで、松山市のビジョンである「地球にやさしい日本一のまち」をPRすることができる。
デメリット ・松山市で回収が想定される食用廃油をバイオ・ディーゼル燃料に転換するためには、市の直営施設または民間施設で新たなプラントの確保が必要である。
・食用廃油からバイオ・ディーゼル燃料へ転換する技術は発展途上の技術である。そのため、燃料として使用することに問題がないよう、一定の品質の燃料が得られるようなプラントを確保する必要がある。
・本来、軽油には軽油引取税として1リットル当たり32.1円の税金が課せられている。これらの課税の問題について、県や税務当局との調整が必要である。
先進事例 ・京都市では、民間事業者にバイオ・ディーゼル燃料化を委託し、すべてのごみ収集車とで利用している。
・民間の処理施設に委託したり、小規模なプラントを導入するなどして、モデル的に実施している自治体も多い。
再生品の使用 ・製造したバイオ・ディーゼル燃料は、松山市の清掃車や公用車ですべて使用することが可能である。
 
[3] 石けんづくり教室等での利用
 
代替案 代替案3 石けんづくり教室等での利用
概要 ・松山消費者四つ葉グループのように、市内で食用廃油を用いた石けんづくりを実施しているところがある。また、松山市リサイクルセンターは、食用廃油から石けんを製造するプラントを有している。消費者教室、小中学校、リサイクルセンターなどにおける石けんづくり教室に、回収した食用廃油の一部を提供する。
メリット ・食用廃油から石けんをつくることによって、ものを大切にする心を育むことができ、大きな教育・啓発効果が期待できる。 
・回収した食用廃油の一部を石けんづくり教室等で利用するため、他の代替案との併用が可能である。
デメリット ・石けんづくり教室での需要は限られており、回収した廃油をすべて使用することはできない。
先進事例 ・石けん教室等での利用は多くの自治体で実施されている。
再生品の使用 ・石けんづくり教室で再生した石けんは受講者の家庭で使用する。リサイクルセンターで製造し、イベントなどで配布することも考えられる。








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