日本財団 図書館


(2) 食用廃油・剪定枝のリサイクルに関する動向
 
[1] 食用廃油・剪定枝の処理の現状
 家庭系の食用廃油をリサイクルするルートはないため、ごみとして捨てられるか流しに捨てられていると考えられる。そのままの状態ではごみとして捨てることができないため、新聞や古布で吸わせるか、市販の廃油固化剤で固めてごみとして排出されていると考えられる。この場合の分別区分は可燃ごみである。
 家庭系の剪定枝についてもリサイクルするルートはないため、一部が庭や畑で焼却や堆肥化されている他は、ごみとして捨てられていると考えられる。ごみとしての分別区分は可燃ごみである。
 
[2] 松山消費者四つ葉グループの廃油石けんづくり教室
 松山消費者四つ葉グループでは、1年に4〜5回、消費者教室や小学校の総合教育などに、メンバーが出向いて廃油石けんづくりを指導している。グループのメンバー自身は使い切ってしまうため、食用廃油は排出しないとのことである。
 石けんを作る方法としては、牛乳パックを使用する方法と、鍋に入れて火にかける方法がある。牛乳パックを使用する方法は、牛乳パックに食用廃油と苛性ソーダを加えて密封し、振って中身を撹拌するだけの簡単な方法である。3日間で固化して石けんになるが、苛性ソーダの反応を確実に終わらせるために、1カ月間放置してから使用する。苛性ソーダが飛び出さないように、牛乳パックをしっかりと密封することが必要である。
 鍋に入れて火を使う方法は、鍋に食用廃油、天然粉石けん、苛性ソーダ、水を加えて、15分間熱を加える。
図表3-16 食用廃油から石けんを製造する方法(パンフレット)
(拡大画面: 160 KB)
z0001_30.jpg
(資料)「私たちの省エネ宣言」(松山消費者四つ葉グループ)
 
[3] (有)帝松サービスのバーク堆肥製造
 市内の(有)帝松サービスでは、輸入米松の皮(バーク)を使ってバーク堆肥を製造している。松山市内には外材の製材所(木材団地)があり、加工時には米松の皮であるバークが排出される。このバークを買い取り、約15,000m2の敷地で、鶏糞と混ぜ合わせて月1回の頻度で切り返すことで、1年間かけて発酵・熟成しバーク堆肥を製造している。製造量は年間約1万トンであり、5,000トンは高速道路の法面などの土壌として、3,000トンは農家のビニールハウスの土地改良材として、2,000トンは一般家庭向けにホームセンターに出荷している。
 平成13年6月に剪定枝の堆肥化を視野に入れて、木くずの破砕処理に関する産業廃棄物処理業としての許可を取得している。土地については、現在バーク堆肥を製造している隣地が空いているため、原料が調達できれば、剪定枝の堆肥化が可能とのことである。剪定枝はバークと異なるため、製造した堆肥の成分がバーク堆肥とは異なる可能性がある。そのため、あらかじめ剪定枝を原料とした場合の成分試験などを行っておく必要がある。その上で、成分を調整するためバーク堆肥との混合などを検討する必要がある。
 また、剪定枝からの堆肥を製造した場合には、需要先の問題がある。
図表3-17 バーク堆肥の製造方法
(拡大画面: 133 KB)
z0001_31.jpg
(資料)帝松サービス資料








日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION