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(3) 課題と今後の展望
ア メリットは域内サービスの均質化、デメリットは対応の硬直性とコスト
 6市町村のどの窓口でも住民票が発行され、最寄り図書館で本の貸し出しが受けられるなど、域内の住民サービスの均質化や資源の有効活用が、広域情報サービスのメリットとしてあげられる。
 一方で、情報システムの構築も6市町村共同となるため、市町村毎の個別の事情に応じたきめの細かい対応ができないことや、システム更改に莫大な費用がかかり、既存パッケージソフトを市町村単独で導入した方が安価で早い場合があるなど、運用面、費用面の負担が課題となる。
 
イ ITインフラ環境の利活用よる地域活性化への展開
 域内では、CATV世帯加入率が98%と、既にITインフラ環境が整っているが、その利活用が課題となっている。今後は諏訪広域連合を中心に、住民および産学連携による広域連携型地域づくり事業を推進する「諏訪広域圏地域づくり事業実行委員会」との連携により、学校間交流や地域づくりイベントの会場との双方向での事業開催など広域的な地域活性化事業との連動を図ろうとしている(図表資一7)。
図表 資-7 諏訪地域 広域連携型地域づくり事業の概要
(拡大画面: 172 KB)
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(4) 事例から得られた示唆
ア 住民の実生活を豊かにし、まちづくりにつながるIT装備の必要性
 諏訪地域はIT基盤整備が先行しているが、その活用については今後の課題とし、学校や地場産業等との連携による地域づくり支援を展開する予定である。地域情報化や電子自治体の構築には多額の投資が必要であり、今後は特にその成果が求められる。IT装備は、単なる行政事務の効率化にとどまらず、地域活性化や、住民の利便性向上など地域総体の魅力向上につながる役割・機能が求められている。
 
イ 住民と行政、ITをつなぐ企画調整機能の必要性
 情報化を含む広域的な地域課題への対応には、構成自治体や関連公的機関、住民、市民団体地域産業などさまざまな主体との連携、調整が必要である。諏訪地域ではこの役割を広域連合が担っており、諏訪地域の広域情報化や、IT環境のまちづくりへ利活用等の推進役となっている。
情報化をまちづくりに活かしていくための企画立案機能と、各主体との連携・調整機能を持った推進組織が必要となる。
 
ウ 行政環境の変化や技術革新に柔軟に対応できる運営組織の必要性
 情報システムの構築、運用管理、更改には莫大な費用がかかる一方で、急速に進展する技術革新による保有資産の陳腐化リスクヘの対応や、市町村合併などの外部環境の変化に、迅速かつ柔軟な対応が求められる。広域情報システムの構築、運用に際しては、そのような環境変化に対応できる外部委託などの運営方式を吟味しながら、運営組織のあり方を検討することが望ましい。








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