圏域内自治体の協力を得て自治体の提供する情報項目について、アンケート調査により提供内容、提供メディア、利用の広域性などについて調査を行い、その概要を図表3-2に示した。

　自治体担当者の視点からみて住民の利用が既に広域的になっているものとしては、生活基盤関係では、環境情報、災害・救急医療情報、スポーツ・芸術文化施設関連情報、観光情報などの情報があげられている。

　今後、広域的な情報提供の必要な項目としては上記の情報に加え、上下水道に関する情報、福祉情報、生涯学習情報および行政情報をあげている自治体が多い。なかでも必要性が高いとする情報は、介護関連情報、保育所(園)、学校に関する情報である。一方、行政関連情報の広域的な提供の必要性については、大安町、多度町、東員町はほぼすべての行政関連情報に関して広域的提供が必要としているのに対し、その他の自治体は不要もしくは不明としており、意見の分かれている傾向がうかがえる。

　情報提供については、環境情報、災害情報を除いた情報項目について広報誌を中心に提供が進められている。インターネットのホームページを通じた情報提供も拡大しつつあり、行政情報、観光情報、ゴミ処理、上下水道などについて提供が進んでいる。広域的な提供の必要性が認められている福祉情報、生涯学習情報、スポーツ芸術文化施設に関する情報提供の実施されていない自治体もやや多い。

　提供可能な情報は、殆どすべての項目について提供可能とする自治体が多い。災害関係、保健関係、スポーツ施設、芸術・文化施設、行政関係についてはすべての市町が提供可能としている項目が多い。提供可能な情報項目を細かくみると情報内容に差はみられるが、今後体制整備や調整を図ることによって、多くの情報が提供可能となりうることをうかがわせる。

　これらの情報項目について、自治体関係者による利用の広域性、情報リソースの存在などの判断からみると、環境情報、防災救急情報、福祉情報、教育情報、スポーツ文化情報の分野が広域的提供の必要性が高い分野とすることができよう。とくに防災・救急情報、スポーツ文化情報は、広域的提供の必要性も高く、情報リソースの整備も進んでおり、まず着手するべき分野として注目する必要がある。

　桑名・員弁地域の行政関連団体、市民団体が提供している情報について、行政関連団体、市民団体に対して行ったアンケート結果をもとにとりまとめ、図表3-3に示した。

　団体による情報提供は、福祉分野を中心に、災害、生涯学習、スポーツ、芸術・文化などの分野について行われている。災害関係の情報提供は、「桑名防災支援ネット」による「くわほうだより」といった紙媒体、インターネットホームページ、「エフエムよっかいち」によるFM放送など、多面的な情報提供が進みつつある。他の分野では、「員弁町社会福祉協議会」、「員弁町民生委員児童委員協議会」、「MCサポートセンターみっくみえ」といった団体が紙媒体に加えてホームページによる情報提供を行っているものの、大半は紙媒体にとどまっている。その中には「松の会」の子ども歌舞伎発表会や「ピアニストの会フリューゲル」のピアノコンサート案内などユニークな活動が紙媒体で限られた範囲で情報提供されており、多面的なメディアにより市民に対して広くサービスしていく必要性が感じられる。

　その他に桑名商工会議所、桑名青年会議所は、事業活動内容について、紙媒体とともにインターネットホームページ、電子メールにて情報提供を進めている。地域情報提供においては、これらの産業団体との連携も欠かすことはできない。

　市民活動関連情報をまとめて提供し、市民活動の活性化を図る「市民活動ネットワーク平成の町割会」、全国のNPOの動きや関連情報を提供する「ひと・まち・未来ワーク」といった活動が電子ネットワークを積極的に活用して進められており、地域内外の市民活動情報の集約、地域内外に対する情報発信の主体としての役割が期待される。

　また、地域に密着した情報全般についても、「メールマガジンぴけ」、「What's up in Kuwana？!」、「エフエムよっかいち」などがインターネットメールマガジン、インターネットラジオ放送、FM放送などの多様な媒体を通じて積極的な情報発信を続けており、広域的な情報発信において主要なメディアを提供する主体として期待される。

　

　市民団体に対するアンケート調査から、市民の必要としている情報を整理して、図表3-4に示した。

　災害関係では、市民との連携のもとに幅広い災害情報の収集が必要とされている。また、芸術・文化関係、その他市民活動ネットワークなどでも市民の行っているイベント、市民の生活情報などの幅広い収集を目指しているグループがみられる。福祉関係やスポーツ関係では、行政の施策情報、学習会情報、スポーツ施設などのきめ細かい情報提供も求められている。これらの結果をみても、災害情報、福祉情報、生涯学習情報、スポーツ情報、芸術文化情報などへのニーズが高く、自治体アンケート調査で示された結果と整合の取れた形となっている。

　さらに、こうしたニーズを仲介し、自治体などと連携して市民に情報提供を行うことを目指しているメディア企業、ボランティアメールマガジン運営者もみられる。今後の広域的な情報サービスの実現においてはこれらのメディア団体との連携も欠かすことはできないだろう。