道路、バス、鉄道共に桑名・員弁地域の中心都市である桑名市を中心に公共交通網が形成されている。広域道路網は、東名阪自動車道のほか、臨海部を通る国道1号および国道23号により、名古屋および四日市方面とを結んでおり、国道258号および国道421号により、圏域の中心都市である桑名と大垣、四日市方面とを結んでいる。また内陸部を国道306号および365号が横断し、四日市・亀山方面と関ヶ原・彦根方面とを結んでいる。

　公共交通では、鉄道網は近鉄名古屋線が名古屋方面および四日市方面とを結び、JR関西本線が名古屋方面および亀山方面とを結んでいる。さらに桑名駅が起点となり、ここから近鉄養老線が桑名市、多度町を通り、岐阜県の大垣駅まで延び、近鉄北勢線が桑名市、東員町、員弁町を通り、北勢町の阿下喜駅までを結んでいる。また四日市市の近鉄富田駅と西藤原駅とを結ぶ三岐鉄道が大安町、北勢町、藤原町を通っている(図表1-6)。

　桑名・員弁地域内住民の生活行動や満足度を把握するために、平成12年度に桑名・員弁広域連合が圏域内の住民を対象に行ったアンケート調査結果をもとに、圏域内を地域特性別に3区分(注1)し、その実情を捉えた。道路・公共交通の利便性に対する満足度では、基幹となる経路との距離を反映し、桑名市(21.2％)が、他のエリア(中部10.3％、北西部8.6％)に比べて比較的高い(図表1-7)。

　水道普及率の現状をみると、桑名市、多度町、長島町、木曽岬町が100％で他の自治体もほぼ100％に近い高い水準にある。生活排水処理については、長島町、木曽岬町が単独公共下水道事業、その他の自治体では北勢沿岸流域下水道関連公共下水道事業を推進しており、木曽岬町のように100％近い整備率のところから5割前後の自治体までばらつきがみられる(図表　1-8)。

　「上水道やごみ・し尿処理施設の整備」は約2割が満足しており、エリア間の満足度の違いはみられない。「下水道や排水路の整備」の満足度は約3割で、若干整備水準の低い北西部の満足度が低い(図表1-9)。

資料 :
三重県 「平成13年刊 三重県統計書 （環境部大気水質課）(平成13年3月）より作成

(3)　医療施設および医療・保健福祉の圏域

　診療科別の病院・診療所数では、桑名市がすべての診療科を網羅している。人口10万人当たりの医師数では三重県平均168.8人に対し、北勢町(269.3人)、桑名市(154.3人)、歯科医師数(10万人対県平均53.3人)では桑名市(57.6人)、藤原町(52.5人)、北勢町(49.6人)を除くと低い水準にあり、とくに中部は診療科の種類、医師数(歯科含)共に厳しい状況にある(図表1-10)。

　このような実情を反映し、病院などの医療施設に対する満足度では、桑名市(15.3％)、北西部(8.6％)、中部(4.4％)の順となっているが、中部は不満とする回答が50.7％と他のエリア(北西部31.9％、桑名市22.7％)より抜きんでて高く、医療施設の充実に対する要望がとくに強い(図表1-11)。

　なお、二次医療圏は、本圏域を含む北勢地域(4市13町)、保健福祉圏は、本圏域が設定されている。また、介護認定審査会の運営は、桑名市および桑名郡1市3町と員弁郡5町で実施している。

資料：
三重県「平成13年刊 三重県統計書(桑名保健所)」 (平成13年3月)、厚生省「平成12年度厚生白書」 (平成13年3月)などより作成