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2 土地所有者のコンセンサスを得た土地利用計画の策定
 本調査研究は、土地所有者や地区内立地企業へのアンケート調査を実施し、概ねの意向は把握しているが、個別の土地の利用について言及できるものではない。
 一方、本調査対象地区では、これまで何度も計画は策定されているが、土地が細分化されていることから、地権者の同意がなかなか得られず、利用すべき土地の担保ができないため、先に進まないのが現状でもある。
 先に示した“町ぐるみ・地域ぐるみ”での連携体制は前提になるが、具体的に土地利用を考える場合には、土地所有者を含む地元で自治会単位程度を目安とした「(仮称)土地利用管理委員会」を構成し、そこが主体的になって土地の交換分合や共同利用を含め再度土地利用計画を策定する必要がある。
 また、町は「(仮称)土地利用管理委員会」に対して、情報提供や事業実施についてのアドバイス等をおこない、町全体としての土地利用の在り方の示唆、あるいは広域連携のための支援等をおこなっていくものである。
図表4-2-1 地元による土地利用計画策定の手順
3 大きな事業プログラムと小さな事業実施
 先に示した「(仮称)土地利用管理委員会」が最終的には検討していくことであるが、ここではその一つの参考として、基本的な事業プログラムの考え方と、まず取り組むべき事業実施の例を示しておくものとする。
(1) 着手手順のゾーニング案
 本調査対象地区に対するこれまでの検討では、福田漁港の動きや広域農道及び国道150号バイパスのインパクトを想定し、主として西側のゾーンでの検討が中心になされてきたが、計画立案までで、その先になかなか踏み出せない状況が続いている。
 これは、福田漁港の動きが見えにくいこととともに、土地所有者が計画づくりに絡んでいないこと、また、インパクトヘの過大な期待のためになかなか土地の利・活用判断ができにくい状況になっていることなどが考えられる。
 本調査研究においては、着手手順については、中央のゾーンからの着手を提案する。その理由は、当面のインパクトはエコパとの繋がりで中央のゾーンにかかってくること、住民意向調査等から中央から東側の土地の方がまとまりやすく、保全は前提にしつつレクリエーション的な土地利用に対して、同意が得やすいと判断されるためである。
 即ち、まずは中央のゾーンに着手し、今後の国道150号バイパスや福田漁港の動きを見ながら、次のステップとして西側のゾーンの土地利用計画を考えていくというプログラムが事業の実現性を高める一つの方法と考えられる。
図表4-3-1 事業手順のゾーニング
(2) まず取り組むべき事業例
 本調査対象地区の土地利用の誘導に当たって、基本的な考え方は「ソフト優先・ハード追随」という考え方である。
 即ち、浅羽の海を町民の財産と考え、町民みんなで育てていこうという運動が背景にない限り、仮に一部の土地利用が動いても点的な動きに留まり、全体として有効な土地利用にならない可能性が高い。
 但し一方、とりわけ土地所有者や地区住民の意識を高めていくためには、目に見える事業も必要となる。
 そこで、本調査研究では、図表4-3-2に示すソフトとハードの事業をまず取り組むべき事業として提案する。
 このような事業を具体的に推進していくために、まずは、本調査研究の考え方を地区住民に示し、そこでの議論を通じて、勉強会的な仕掛けを立ち上げていくことが第一歩と思われる。
図表4-3-2 取組むべき事業例
 
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図表4-3-3 サーファーズビレッジの概念イメージ
 「浅羽町は自然環境を守る町である」という町のルールに基づき、利用者にもそのルールに従った利用に協力してもらう。一方、ゆったりとした駐車場、整備水準の高いサーファーズビレッジを整備し、機材運搬の台車等の貸し出しもおこなう。








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