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4 主な結論
(1) タテ軸からヨコ軸展開に向けて市民活動支援は必須
 藤枝市のテーマ型団体の多くは活動の歴史が浅く、また活動基盤(財源、会員等)が脆弱である。団体としての基本的事項(会計、組織運営、法務、事業ノウハウ、各種情報等)の末習得な団体もみられ、また、人材や活動場所等の確保に苦労している団体も多く、ほとんどの団体が藤枝市に対してなんらかの支援を希望している(アンケート調査)。このため、これらの基本的事項に関するアドバイスや情報提供、活動場所・設備の提供(単なる「ハコ」ではなく、団体間での交流ができたり、各種情報が集まり発信できるような情報拠点)、人材の育成(各テーマに関する専門教育やコーディネーターの育成等)を中心とした支援を行う。
 なお、NPOへの補助金助成や基金を設置する動きが一部の自治体にみられる(資料3参照)。藤枝市においても有効な支援施策と考えられるが、その場合には援助意識を排除した(「協助」ともいうべき意識をもち)「自主性の原則」、「公開の原則」、「公平性・公正性の原則」に立って、補助内容の情報公開や団体の審査を行うこと等が必要である(団体への補助にあたっては、運営資金ではなく事業資金を対象とする)。
(2) 市民活動に「市民権」を与える「市民活動推進条例」の整備
 藤枝市のテーマ型団体のほとんどはNPO法人ではなく、市民としての「市民権」(戸籍)を持たないため、有志によるボランティア団体とみられがちである。このため、実際の市民サービスにあたっては、市民からは「ボランティアなのにどうしてお金(交通費等の経費)をとるのか」などと聞かれたり、また行政の協力(例えば資料提供等)や理解が得られにくいこともあり、活動にあたって肩身が狭い状況にある。
 今後、活動するテーマ型団体の数や規模は増加が予想されるため、これらのテーマ型団体に「市民権」(戸籍)を与える意味で、市民活動推進に関する条例整備が必要である。この条例により、市民自治(アーバン・ガバナンス)による地域運営が推進・加速される(なお、条例は行政と市民で策定することが望ましい)。
(3) テーマ型団体と地縁団体の相互補完の誘導と調整
 藤枝市の地縁団体は文字通り地縁で、テーマ型団体は福祉や環境、教育などのテーマで会員が結束しているため、双方の活動分野と活動内容は異なりバッティングはしていない。
むしろ、双方主催の行事等への参加、活動場所や活動資金のサポート(地縁団体からテーマ型団体へ)等で交流関係が拡大している面もみられる。このことは双方の団体の長所を活用し短所を補完でき、また活動基盤を強化・充実することが可能である。このため藤枝市は、このような双方の交流を拡大・促進させるための支援を行い、また、意見が対立した場合には必要に応じて調整する。
(4) 市民への啓発と行政の意識改革
 藤枝市では、政策の立案過程(主に市民参加)および実施過程(主に協働)において急速に市民との距離が縮まりつつある。一部の行政分野には、理想的とも言えるパートナーシップによる信頼関係が形成されつつあるが、まだ信頼関係ではなく上下関係として市民団体を捉える意識が行政側に残っており、今後、研修等により全庁レベルでの意識改革が必要である。また市民についても、市民団体による市民サービスヘの理解が徹底されておらず、市民団体に対する市の考え方を伝えたり市民団体の情報提供を広く行うなどの継続的な啓発活動が必要である。
主な結論とキーワード








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