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6 ふるさと市民の確保と事業展開
(1) ふるさと市民制度の展開の概要
 
 ふるさと市民制度展開の大きな流れを示せば、次のようになる。
 まず、ふるさと市民を確保すること、データベースを作成することが必要である。
 本節の(3)で述べるが、例えば、小中学校や高等学校の卒業生名簿の整理、全国各地の鹿角会の名簿整理、歴代の「ふるさと大使」の紹介などによってより多くのふるさと市民を確保していくことを考える必要がある。
 このようにしてふるさと市民の増大を図りつつ、鹿角からの情報発信等を行い、鹿角とふるさと市民の絆をつくり・強化する事業を、継続的に展開する。
 これにあわせて、鹿角のPR、鹿角のまちづくりへのアドバイス、サポートなどを進めてもらう。ふるさと市民からの情報発信である。
 また、情報の受発信、交流の場として、独自の「ふるさと市民のサイト」あるいは鹿角の地域サイトに「ふるさと市民サイト」などを置くことを考える。
図表3−5 ふるさと市民制度の展開
(2) ふるさと市民の類型
 
 ふるさと市民になり得る鹿角に思い入れを持つ関係者は、鹿角市との関わりの差(関心や知識などでの差)によって様々なタイプが考えられる。この差異は、ふるさと市民に位置づける方法や事業展開をする上での差異につながる。
 鹿角では、次の5つの基本類型(タイプ)に分けることが適当と考える。
 なお、ここでは個人として表記するが、これらの人が経営する企業や団体なども考えられる。その場合は、一部事業などでサービスの提供などがふさわしくないもの(例えば後に述べる「安心情報サービス」)がある。
図表3−6 ふるさと市民のタイプ
基本タイプ  
I 鹿角がふるさとの人
(鹿角出身者)
a 実家など帰る家のある人(頻繁な交流)
b 実家など帰る家のない人
II 鹿角に縁が会った人
(転勤などによる一時居住者など)
a 今でも交流などのある人(関心度が高い)
b 今ではほとんど交流などがない人
III 鹿角に訪れて鹿角を好きになった人 a ビジネスマン
b 観光客
IV ネットワーク市民 a 上記の人たちの友人など、つながりを持つ可能性のある人
b 情報やものだけでつながっている人
V 鹿角市の居住市民 a サービス享受者としての市民
b まちづくりの担い手、情報提供・発信者としての市民
(3) ふるさと市民の確保方法
 
 どのような人がいるのか(いたのか)把握できる方法は、上記の類型によって大きく異なると考えられる。このため、ふるさと市民の類型別に、取り込み方法を変えていく必要がある。
 なお、最低、頻繁に新鮮な情報を簡単に送れるようメールアドレス、アドバイスやサポートが可能な分野、紹介できる人材あるいは人材分野、その他協力できる内容(例えば寄付)などの情報を収集しておくことが望まれよう。
 
ア 鹿角がふるさとの人(タイプI)
 小中学校や高校の同窓会名簿や後に述べる「歳祝い情報サービス」での同窓名簿などを活用して、まずはダイレクトメールなどを送付し、勧誘する。実家のある人(タイプIa)は、実家=鹿角に残る親族などから広報紙を通じてPRし、情報提供をしてもらうことなども考えられる。
 
イ 鹿角に緑があった人(タイプII)
 IIaタイプは、交流があることから、鹿角在住地の勤務先や広報紙によるPR、市民などからの情報提供などによって比較的容易に名簿が作成できよう。
 IIbタイプの把握は難しいと思われる。マスコミをうまく活用したPRやaタイプのつてをたどる方法、「ふるさと市民」サイト活用などによることになろう。
 
ウ 鹿角を訪れて鹿角を好きになった人(タイプIII)
 IIIaタイプはほとんど「鹿角に縁があった人」と同じように考えることができよう。
 IIIbタイプは、鹿角市でも観光施設などでアンケートなどの形で情報収集をしている。今後も「ふるさと市民」制度のPRと同時に観光施設でのアンケート(例えば入会意向やどのようなサービスを期待するかなど)などによって、データベースに加えることを考える。なお、来訪目的などから収集する人の情報は、メールやダイレクトメールなどを送る情報程度に留めることが必要であろう。
 
エ ネットワーク市民(タイプIV)
 IVaタイプは、ネットワーカーである上記の人達の紹介などが前提になる。つまり、I〜IIIタイプのふるさと市民にほかの人や団体を紹介してもらう事業を展開する必要がある。人の情報内容は、原則的な情報となる。
 これに対してIVbタイプは、情報だけ、あるいは「産品購入」だけで鹿角とつながっている市民である。情報提供事業など、ふるさととの絆をつくり強化する事業で生まれてくる市民である。情報は獲得できる。鹿角のPRをしてもらえる可能性があり、情報交流や情報によるアドバイスなども受けられることなどから、このタイプの市民の積極活用を考えたい。
 
オ 鹿角市の居住市民(タイプV)
 鹿角市民に対しては、ふるさと市民に関する事業の情報を、市の広報や関係者の口コミなどによって頻繁に流していくことによって、この事業が自分たちにも関係があって、地域をよくするためには多くの市民の協力や利用が欠かせないということを理解してもらう必要がある。その上で、参加・協力したい人ための受付窓口を設置し、いつでもメンバー登録ができるような仕組みを整備する。








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