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5 ふるさと市民の担う役割
(1) 視点
 
 出身者アンケートでは、9割以上の人たちが、何らかの意味でふるさと鹿角の役立ちたいと考えていることが明らかになった。確かに大部分は精神的な応援をしたり、鹿角のことを宣伝するといった、消極的な活動で役に立ちたいと考えているのであるが、中には労力や経営ノウハウの提供、経営者としてふるさと鹿角での事業展開、さらには事業への出資まで考えてもよいという人たちもいることがわかった。
 こうしたふるさとに対する強い思いをもっている人たちの力を、これからの地域振興に結集していくのが、ふるさと市民制度の考え方である。
(2) 担う役割
 
ア 主な役割
 そこで、鹿角市との様々な形での交流を基礎に、「ふるさと市民」には従来の「ふるさと大使」が果たしてきた役割に加えて、新たな役割を期待する。
 すなわち、まず、従来の延長である周囲の人に鹿角を宣伝する広報マンとして、また、ふるさと鹿角が抱える課題に対して、知識や経験、人脈等を用いてアドバイスをくれるアドバイザーとしての役割を期待する。
 これらに加え、3つの鹿角づくりでの様々な支援を期待する「サポーター」の役割とネットワークを拡大していってもらう「ネットワーカー」の役割を期待する。
 これらをまとめるならば、新しいふるさと市民に担ってもらう主な役割は次のとおりである(網掛けは「ふるさと大使」が担っていた役割)。
図表3−3 ふるさと市民の担う役割
 
イ 具体的な役割(例)
 教育、文化、福祉、健康などの市民生活にかかわる分野や産業振興などの地域振興・活性化などにかかわる分野で様々な役割が期待される。交流を除く、主な役割との関連で整理すると次のような例が考えられる。
図表3−4 ふるさと市民の具体的な役割例
主な役割 具体的な役割の例 分野
ふるさと
広報マン
音楽祭などを開催して鹿角をPRする
(プロモーター)
教育・文化
鹿角を舞台としたドラマや小説などをつくりPRする
(プロデューサー)
文化
近所の人や職場の人に鹿角の観光地をPRする 観光
鹿角の特産品を購入・配り(贈り)、産物をPRする 物産
(産業)
ふるさと
アドバイザー
様々な相談に応える
(まちづくり、企業経営、新製品開発、観光動向など)
諸分野
講演者や講師になる
(学校教育、生涯学習、福祉、健康、産業、行政など)
諸分野
ふるさと
サポーター
鹿角を訪れる 観光・商業
など
鹿角の物産を購入する、サービスの提供を受ける 物産(産業)
など
指導者(講師などを含む)になる
(学校教育、生涯学習、福祉、健康、産業分野など)
諸分野
鹿角をテーマとした調査研究をする
労力を提供する(除雪、介護、農作業など)
諸分野
諸分野
施設をつくる(これらを運営する) 教育や福祉分野など
出店する、工場を進出させる(これらを経営する) 産業
出資する(産業、福祉・健康施設など) 諸分野
寄付する 諸分野
ネットワーカー ふるさと市民の輪を広げる
依頼などに応え必要な人や帰還を紹介する 総合分野








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