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2 研究の視点
 本研究を実施するにあたり、次の4つの視点を設定した。
 
◇ 新しい「ふるさと市民制度」の理念・目的を明確にし、目標を設定する。
◇ 交流対象者及び交流事業関係機関・団体の意向を把握し、実効性の高い制度の構築を検討する。
◇ 域内外の市民の知恵や技術を活用するため、域内外の意見や提案を地域づくりに反映させることを目的とした、鹿角市における公私共動体制のあり方を検討する。
◇ 地域間交流を図ることにより、鹿角に対する愛着や誇りなどの再認識、まちづくりに対する市民意識の高揚、市民の視野の拡大を目指す。
(1) 新しい「ふるさと市民制度」の理念・目的を明確にし、目標を設定する。
 
 現在、鹿角市では、「ふるさと大使」、「都市と農村交流」などの交流事業の他、「鹿角会」など、市出身者により構成されたふるさと会を通じて地域外の住民との交流が行われている。しかしながら、これらの交流をまちづくりにつなげるという、本来の目的・目標を達成するには至っておらず、課題が表面化しつつある。また、東京の恵比寿には、首都圏への鹿角市のPRや情報の受発信を目的に、平成9(1997)年2月にオープンしたアンテナショップ「鹿角ピア」を設置したものの、平成14年1月末に閉鎖となっている。
 そこで、新たな制度の構築には、これらの取組から得られる示唆を十分活かすとともに、新制度が鹿角市のまちづくりに資するための独自の理念・目的を明確にし、目標を設定する必要がある。
(2) 交流対象者及び交流事業関係機関・団体の意向を把握し、実効性の高い制度の構築を検討する。
 
 これまで、鹿角市において取組んできた地域間交流事業においては、“外部の発想やアイデアを十分活かしきれていない”という問題点があげられている。
 そこで、新たに「ふるさと市民制度」を構築するためには、その制度が対象とする域内外の住民や関連団体、さらに、制度の運営に関わるすべての機関の意向を把握し、外部の住民の発想やアイデアを、鹿角市のまちづくりに活かすことができる実効性の高い制度の構築を検討する必要がある。
(3) 域内外の市民の知恵や技術を活用するため、域内外の意見や提案を地域づくりに反映させることを目的とした、鹿角市における公私共動体制のあり方を検討する。
 
 鹿角市が第5次総合計画において標榜している「出逢い賑わい夢をかなえるまち・鹿角」を実現するためには、市民の意向を踏まえた行政運営の展開と市民のより責任ある参加に基づく、市民と行政のパートナーシップによる共動を進めていくことが求められている。
 そこで、新たに「ふるさと市民制度」を構築するにあたり、域内の市民はもちろんのこと、域外の住民の意見や提言を、市政運営に反映させることが可能な公私共動体制のあり方を検討する必要がある。
(4) 地域間交流を図ることにより、鹿角に対する愛着や誇りなどの再認識、まちづくりに対する市民意識の高揚、市民の視野の拡大を目指す。
 
 市民と行政とのパートナーシップに基づく共動を実現するためには、鹿角市民が域外の住民・情報・ものなどと交流し、外部からの刺激を受けることで、自分たちの住んでいるまちの特性や課題を再認識・再発見することにより、まちづくりや市政に対する関心を向上していくことが求められる。
 そこで、本調査の過程及びその後の地域間交流を通じて、鹿角市民が自らの視野を広げ、“鹿角のまちづくり”に対する参加意識に目覚めることにより、市民自身の自治意識を確立していく必要がある。








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