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6) ヤマハMD1051KHα・KUH・KUHp型
     ヤマハ発動機株式会社
 新しいMD1051には、ユーザの使用状況に応じた3つの使用が用意されています。法90馬力クラスでトップの612馬力を誇るKD1051KUHp、バランスに優れたMD1051KUH、トルク重視の市場に応えるMD1051KHαです。
更に、各仕様には従来のストレートドライブに加えて業務用史上初の新開発アングルドライブを設定。200mmの全高低下により、低重心化と有効スペースの拡大が実現し、船の実力を最大限に引き出します。

 
<特徴>
1. 機能性
●新開発アングルマリンギヤ
ヤマハのトータル力を活かし、クランク軸から10度傾けた角度でマリンギヤ出力軸を取り出す事ができるアングルドライブギヤを新開発。業務用に対応したB減速(3.0)からE減速(1.5)で、従来のマリンギヤと同等の寿命設計を行っています。また、200mmの全高低下により、定重心化と有効スペースの拡大が図られ、艇体の大型化、エンジンルームのメンテナンス性の向上、P.T.Oの取り出しやすさ、さらには風流れ特性におけるメリットなど、様々な可能性を秘めています。


●ガラ音防止装置
電子制御でクラッチ油圧を微調整することによって低速回転時に発生するマリンギヤのガラ音を無くすガラ音防止装置を標準で装備。さらに、ガラ音感度調整ボリュームに無段階連続調整式を採用し、搭載艇ごとに最適なガラ音低減の制御を可能にしました。
●電子式自動定速装置新型
スリップ運転時のクラッチ作動油圧をコンピュータ制御し、応答性、安定性が向上。制御範囲の拡大も図りました。
●スピーディな始動と停止
エンジン停止システムにはコンピュータ制御のサーボモータ方式を採用し、キー操作だけでエンジン停止が可能です。また、エンジン始動は、始動時の負荷を軽減させると共に燃焼効率を向上させたことにより、予熱が不用となりました。また、一部極寒地用としてオートクイックヒータをオプションで用意しました。
 
2. 信頼性
●高出力を支える高い信頼性
ハイパワー化に伴う、熱や圧力の増加を高い信頼性でカバーしました。シリンダヘッドには、剛性の高い6気筒一体型の特殊耐熱合金鋳鉄を採用しました。また、ノズルスリーブはウエットタイプとし、ヘッド弁間およびノズルスリーブの冷却はクーリングジェットによって行われ充分な耐久性を確保しています。さらに、排気マニホールドには特殊合金の採用で、耐熱強度を大幅にアップするなど、高速・高負荷連続運転に対する信頼性を向上しています。
●アルブラック(耐腐蝕冷却システム)
エンジン内部に清水を循環させる海水間接冷却システムを採用し、塩水による内部腐蝕を防ぎます。また、海水配管には、金属で最も耐海水腐蝕性が高いアルブラックを採用。メンテナンスフリーを実現させました。
●マリンギヤ故障自己診断機能
制御用センサ類に何らかの異常が生じた際、自己診断機能により、コントロールBOX ASSY内のLED表示機能を装備。故障個所の特定が容易になりました。また故障を検知した場合は、マリンギヤ電子制御装置の機能を制御するフェールセーフ機能を搭載。安全確保およびクラッチ損傷防止を実現しています。
 
3. 性能
●水冷ツインターボ&エアクーラ
ロングストローク、クラス最大排気量のポテンシャルを最大に引き出すため、水冷ツインターボを採用。斜流タービンと高効率コンプレッサを組み合わせたツインターボ化は、大排気量化への対応と低速での応答性を高めるとともに、船内の安全性を考慮した水冷式としました。また冷却効率をアップさせるルーバー付きフィン&チューブタイプの大容量のエアクーラを採用。ターボで圧縮された高温の空気を効率良く冷却し、多量の空気を燃焼室に送り込む事が可能になりました。


●高噴射システムと燃焼室の最適マッチング、ブーストコンペンセイタの採用により、定常黒煙と加速黒煙を大幅に抑えています。また、しゃ熱性の高いダックタイル鋳鉄ピストンと燃焼系・噴射系の最適マッチングで白煙の低減も実現しています。
●エンジン重心位置を中央におき、マウント荷重の平均化を図るとともに、エンジン冷機時におけるピストンスカートとシリンダライナのすき間を低減し、振動と騒音を抑えています。

MD1051KHα ・ KUH ・ KUHp仕様緒元
  KHα KUH KUHp
機関名称 N 482 N 481 N 483
マリンギヤ軸端最大出力 {KW(ps)/rpm} 389.8(530)/2300 426.6(580)/2300 450.1(612)/2300
使用条件 最大2時間以内 最大1時間以内 プレジャーボートレーティング
形 式 水冷4サイクル立型ディ−ゼル
漁船法馬力数 90
シリンダ (数−配列) 6−直列
シリンダ (内径×行程) (mm) 121.9 × 150
行程比 (行程/内径) 1.27
排気量 (cm3) 10,504
燃焼室形式 直接噴射式
使用燃料 軽油又はA重油
連続定格出力(JRI出力) {KW(ps)/rpm} 354.5(482)/2230 387.6(527)/2230 409.1(556.2)/2230
無負荷最低回転数 (rpm) 525〜575  (ストレートマリンギヤ) 
555〜585  (アングルマリンギヤ) 
最大据付傾斜角度 前上がり12度  (ストレートマリンギヤ) 
前上がり2度  (アングルマリンギヤ) 
全長 × 全幅 × 全高 (mm) 1750×1087.5×1116  (ストレートマリンギヤ) 
1744×1087.5×1085  (アングルマリンギヤ) 
乾燥重量 (マリンギヤ含む) (kg) 1321  (ストレートマリンギヤ) 
1306  (アングルマリンギヤ) 
減 速 比 A:3.43 B:2.92 C:2.48 D:2.00  (ストレートマリンギヤ) 
B:2.96 C:2.48 D:1.97 E:1.57  (アングルマリンギヤ) 
予熱装置 (任意装備) インテーク・エアヒーター
冷却方式 海水間接清水冷却
オルタネーター (V−A) 24−50
バッテリ (V−AH×数) 12−200 × 2








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