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7) 中小形低速4サイクルディーゼル機関の点検、整備スケジュール
株式会社 松井鉄工所
 
 今般、株式会社松井鉄工所では当社製造の中小形低速4サイクルディーゼル機関の点検、整備スケジュールを作成致しました。ディーゼル機関の整備間隔は、それぞれの機関の稼働、取扱状況、整備状態、使用燃料、潤滑油によって変るもので、注意深く整備の記録をとり、それを参考として各機関毎に独自の整備間隔を決定すべきであると考えます。機関を分解した際には部品の破損、摩耗状況をよく調査し、次の分解までに摩耗限度に達するような部品は早い目に取替えておくべきです。
 従って、ここに記載するスケジュールは一つの目安として作成したもので、定期検査期間が4年から5年に延長されたので、それを基準とし、機関の使用時間は年間3000時間と想定し、使用燃料はA重油としております。
 整備時には交換した部品名や、整備内容、計測寸法等を詳細に記録しておくことも必要です。
 本スケジュールは前記のとおり、中小形低速4サイクルディーゼル機関を対象としたものですが、他の機関でも参考にして頂けるものと考えます。舶用機関整備士の皆さんが、このスケジュールを基準としてそれぞれの機関に適用できるものを作成して頂ければ望外の喜びであります。
 
推奨する点検、整備スケジュール
A 毎日 E 7,500時間又は3年(簡易分解検査)
B 500時間又は半年 F 15,000時間又は6年(分解検査)
C 1,500時間又は1年 G 30,000時間又は12年
D 3,750時間又は2年    
 AからG点検までの期間は使用時間或は年数の何れか短い期間を採用してください。

(毎日     A)
項目 作業内容 備考
機関運転状態

2〜3時間毎に計測、点検
潤滑油温度及び圧力、冷却清水温度及び圧力、燃料ポンプラック目盛り、機関回転数、排気温度、冷却海水温度、逆転機潤滑油温度及び圧力、逆転機作動油圧力、給気圧力及び温度、機関室温度 機関日誌に記録のこと
排気色、異常音や振動の有無、燃料、冷却水、潤滑油、給気、燃焼ガスの漏洩の有無  
ガバナ 作動油レベルの確認。減少しておれば補給。
リンク廻りに注油。
 
燃料油 タンク、フィルタからドレン抜き  
潤滑油 フィルタからドレン抜き、及び掃除。ベッドの潤滑油量の確認。弁腕注油器の作動確認。逆転機の潤滑油量の確認。  フィルタの掃除は状況により延長してもよい。
冷却清水 水量の確認  
爆発圧力 各シリンダ共均一で規定内であること。 機関日誌に記録

(500時間又は半年      B)
項目 作業内容 備考
主要部ボルト 緩み点検、増締め、特に機関内部の運動部分のボルトには注意すること。  
始動空気槽 ドレン抜き、ドレンセパレータのドレンも抜くこと。 始動前に毎回行うのがよい。
海水濾器 分解掃除  
燃料濾器 分解掃除  
シリンダ安全弁 運転中に漏れ確認  
燃料弁 分解、点検、掃除、エッジフィルタも清掃のこと。  
始動空気分配弁 分解シート面の点検、摺合せ、カム軸嵌まり込み部えのグリス充填  
動弁装置 潤滑油供給の確認  
潤滑油 潤滑油状態の点検、パイプ、ジョイントよりの漏れ、特に機関内部に注意、サンプリングの上化学分析  
空気冷却器 運転中の空気、水漏れ確認  
爆発圧力 計測の上、各シリンダ共均一で適正な圧力に揃える。  
過給機 油量の確認、補給、要すれば入れ替え(水冷式の場合)  

(1500時間又は1年、500時間点検を以下の項目に足す   C)
項目 作業内容 備考
カムシャフト ギヤ及びカムの点検と潤滑油の供給確認  
動弁装置 弁腕間隙の計測調整、各部摩耗状況確認  
燃料弁 取り外し、分解、掃除、点検、圧力調整  
潤滑油 化学分析の結果必要なら潤滑油交換、或はメークアップ。バイパスフィルタの確認、必要ならエレメント交換  
排気弁 分解、掃除、摺り合わせ、弁箱内冷却水通路の掃除、パッキン交換  
回転計 指度の確認  
過給機 フィルタ点検、掃除、ガス抜き通路点検、掃除  
減圧弁 分解、掃除、ダイヤフラム点検、要すれば交換  
各熱交換器 防蝕亜鉛の交換  
清水ポンプ駆動装置 分解、掃除、点検、ボールベアリングが摩耗しておれば取替え  

(3750時間又は2年   D)
項目 作業内容 備考
吸気弁 分解、掃除、摺り合わせ、パッキン交換  
燃料ポンプ 耐圧試験、分解掃除、要すればデリベリバルブ交換  
ガバナ 作動油の排出、新油注入 粘度に注意
始動弁 分解、点検  
冷却清水 防錆剤の濃度検査、要すれば補充  

(7500時間又は3年、1500時間、3750時間点検を以下の項目に足す   E)
項目 作業内容 備考
過給機 分解、掃除、ベアリング、パッキンの交換  
空気冷却器 取外し清掃、水圧試験  
クランク軸 デフレクション計測  
軸系 軸芯検査、必要なら修正  
ピストン 取外し、清掃、外径計測、ピストンリング点検、摩耗しておれば交換  
シリンダヘッド 取外し、清掃、パッキン交換  
シリンダライナ 内径計測、点検  
ピストンピン メタルとの間隙計測、ピストンとの間隙計測、当り状況確認、要すれば交換、ゴムパッキン交換  
クランクピン及びメタル 当り確認、メタルに疵あれば修正或は交換  
連接棒 外観検査、カリーチェック  
潤滑油冷却器 分解、掃除、水圧試験  
清水冷却器 分解、掃除、水圧試験  
冷却水ポンプ
(清水、海水)
取外し点検、シール、ベアリング等交換  
潤滑油ポンプ 分解、点検、歯のピッチング、摩耗、軸受の摩耗等あれば交換  

(15000時間又は6年、7500時間点検を以下の項目に足す   F) 分解検査
項目 作業内容 備考
シリンダーライナ 抜き出し、冷却面の点検、再塗装、ゴムパッキン、Oリング、その他パッキン類は全て交換  
クランク軸 注油孔点検、掃除  
主軸受 点検、間隙測定、調整、掃除  
カム軸 分解、点検、特にカム外周の調査、軸受間隙測定、調整、掃除  
ピストン冷却室 ピストンクラウンを分解、掃除、ゴムパッキン交換 取り付けボルトは20,000時間で交換
ピストンリング
オイルリング
測定、掃除、要すれば交換  
クランクピンメタル、間隙 測定、掃除、点検、要すれば交換  
ピストンピン外径、硬度 測定、点検  
クランクピンボルト 点検、必要なら交換 20,000時間で交換
各ギヤ 歯面の点検、バックラッシュ測定、要すれば調整或は交換  
プロペラ、プロペラ軸、中間軸 プロペラを点検、要すれば修正。ペラ軸、中間軸を抜き出し点検、要すれば磁気探傷或はカラーチェック  
潤滑油圧力調整弁 分解、清掃、点検  
潤滑油温調弁 分解、清掃、点検  
冷却水温調弁 分解、清掃、点検  
潤滑油吸入管
(台板内)
取外し洗浄、点検  
逆転機 全分解、摩擦板等点検、シールパッキン交換  

(30000時間又は12年、15000時間点検を以下の項目に足す   G)
項目 作業内容 備考
台数 洗浄  
架構 洗浄  
船尾軸受 摩耗状況点検、要すれば交換  








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