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7) ヤマハMD860KUH・KHα
ヤマハ発動機株式会社

MD860はエンジンに求められる高馬力化・軽量化をバランスよく両立。新型マリンギヤHM170の搭載により、耐久性の向上とともに自動定速装置の性能を大幅にアップさせました。また、海水配管には金属で最も海水腐蝕に強いアルブラックを採用し、メンテナンスフリーを実現。エンジン各部の機構にも磨き上げた先鋭技術の数々を導入し、過酷な環境に応える信頼性を確立しています。

MD860KUH・KHα
 
<特徴>
1. 機能性
● 新開発マリンギヤ
 エンジンの高出力化にともない、ヤマハの最新技術を折り込んだ大トルク容量のマリンギヤ。ハイパワーにゆとりをもって応えます。また、MD690で大好評を頂いている新型電子制御装置を標準で搭載。マリンギヤに求められる最大の機能である微速装置の応答性、安定性を大幅に向上しました。さらに、全ての減速比で逆転使用を可能にするなど、実際の漁での使い勝手・機能性を一段と高めました。
 
● オートPSD(自動減筒運転)
 低速長時間運転時に発生する白煙を低減し、長時間のアイドリング時に燃料消費量を軽減するオートPSD(自動減筒運転)を採用しました。また、メータパネルやスイッチパネルにPSDモニターランプを装備し、減筒運転の状況を一目で確認できます。
 
● 新型メーターシステム
 スポーティで高級感のあるデザインの新型メータシステムを採用。コンパクト化によって省スペースを実現しました。また、分割化により設置場所の自由度もひろがり、見やすく使い易いレイアウトが可能です。自動車感覚で操作できる3ポジションのキースイッチ、オートPSDのモニターランプの追加、夜間航行でも便利な無段階で調整できるメータ照明など、精度の高いエンジン情報を瞬時に確認できます。さらにサブメータパネルをオプションで用意し、ブリッジ外での操船が容易になりました。
 
● スピーディーな始動と停止
 エンジン停止システムにはコンピュータ制御のサーボモータ方式を採用し、キーの操作だけでエンジンの停止が可能です。また、一部極寒地用としてオートクイックヒーターシステムをオプションで用意。キースイッチをONにするだけで予熱を開始し、始動性を向上しています。
 
● 徹底した軽量・コンパクト設計
 乾燥重量1,115kgとMD859KUHに比べ60kgの軽量化を実現。馬力当たり重量は、わずか2.37kg(MD860KUH)と、小型・軽量・高出力エンジン造りを追求。漁船の高性能と経済性をハイレベルで実現する小型・軽量設計です。
 
● ガラ音防止装置
 電子制御でクラッチ油圧を微調整することによって低速回転時に発生するマリンギヤのガラ音を無くす、ガラ音防止装置を標準で装備。さらに、ガラ音感度調整ボリュームに無段階連続調整式を採用し、搭載艇ごとに最適なガラ音低減の制御を可能にしました。
 
2. 信頼性
● 高出力を支える高い信頼性
 ハイパワー化に伴う、熱や圧力の増加を高い信頼性でカバーしました。高モリブデン含有の特殊合金鋳鉄採用のシリンダーヘッドや、コバルト含有焼結バルブシートの採用。さらに、高負荷時においてライナ温度の上昇を抑え、トップリング部における油膜の減少を防止することにより、リング、ライナ磨耗を低減した、ヤマハ独自のライナオイルクーリングシステムの採用と、各部の素材から、細部システムに渡って最新技術とテクノロジを導入しました。
 
● アルブラック(耐腐蝕冷却システム)
 エンジン内部に清水を循環させる海水間接冷却システムを採用し、塩水による内部腐蝕を防ぎます。また、海水配管には、金属で最も耐海水腐蝕性が高いアルブラックを採用。メンテナンスフリーを実現させました。
 
● マリンギヤ故障自己診断機能
 制御用センサ類に何らかの異常が生じた際、自己診断機能により、コントロールBOX ASSY内のLED表示機能を装備。故障箇所の特定が容易になりました。また故障を検知した場合は、マリンギヤ電子制御装置の機能を制限するフェールセーフ機能を搭載。安全確保およびクラッチ損傷防止を実現しています。
 
3. 性能
● ハイパワー470馬力を実現
 ヤマハ独自の6気筒・24バルブシステムに加え、低速から高速域まで、高効率、高過給化を実現した、UBCI、ターボチャージャ&大型インタークーラを採用。さらにリエントラントタイプの直噴式燃焼室、6噴孔式ノズルなど各部に燃焼効率を高めるシステムの採用により、ハイレベルな高出力と信頼性を実現しました。
 
● U.B.C.l採用のターボチャージャ&インタークーラ
 ターボチャージャブロワインペラ(タービンの羽根)径をアップ、さらに後方にカーブさせ独特の形状としました。これにより、低回転から高回転域まで、広い回転域でのターボ効果を発揮します。また、大型のインタークーラを採用、空気密度を高め飛躍的なパワーアップを図りました。
 
仕様諸元
 機関名称……N15
 形式……水冷4サイクル立型ディーゼル
 シリンダ(数−配列)……6−直列
 シリンダ(内径×行程)(mm)……117.8×130
 排気量(cm3)……8,501
 連続定格出力(JCI)……{kw(ps)/rpm}・287.6(391)/2,229(KHα)
 連続定格出力(JCI)……{kw(ps)/rpm}・314.8(428)/2,229(KUH)
 最大出力(マリンギヤ端出力)……{kw(ps)/rpm}・316.3(430)/2,300(KHα)
 最大出力(マリンギヤ端出力)……{kw(ps)/rpm}・345.7(470)/2,300(KUH)
 漁船法馬力数(P)……80
 燃焼室形式……直接噴射式
 使用燃料……軽油またはA重油
 全長×全幅×全高(mm)……1,695×949×1,053
 乾燥質量(マリンギヤ含む)(kg)……1,115
 減速比……A:3.46B:2.96C:2.45D:1.97E:1.55
 予熱装置……インテーク・エア・ヒータ
 冷却方式……海水間接清水冷却
 オルタネータ(V−A)……24−35
 バッテリ(V−AH×数)……12−150×2
 
 
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主要外観寸法図
 KUH仕様








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