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3.3 変節装置
 変節装置は一般にサーボモータと呼ばれるもので、シリンダとピストンから構成される。
 変節装置には3・43図に示すように軸系内に内蔵されたもの、減速歯車装置に組込まれたもの3・45図および3・44図(a)(b)に示すようにプロペラボス内にシリンダとピストンを内蔵されたものなどがある。これらはピストンの前後に変節油ポンプからの油圧を与え、ピストンを前後に動かすものであるが、これを制御するために制御弁が設けられる。この制御弁もサーボモータのピストン内に内蔵されたもの、軸に取り付けられた制御箱内に設けたものまたは独立した制御装置内に設けたものがある。
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3・43図 軸系内にサーボモータがあるもの
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3・44図 サーボモータをボスに内蔵するタイプ
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3・45図 減遠歯車装置にサーボモータを組込んだもの
3.4 給油箱
 給油箱(給油筒)は変節油ポンプからの油を軸系内に取り入れ、プロペラピッチの変節が終了した戻り変節油を軸系外に排出する機構を有するものである。
3.5 非常用翼角固定装置
 非常用翼角固定装置は変節油ポンプの故障または他の理由によって、可変ピッチプロペラ装置の変節が出来なくなった場合、固定ピッチプロペラとして使用できるように、翼角を手動で固定するものである。翼角の固定位置は前進最大翼角または前進側の一定翼角(定格翼角の場合が多い)であり、一般に後進側では固定できない。
 翼角の固定方法には3・46図に示すような、翼角固定ボルトでサーボピストンを締め上げて固定するもの、3・47図に示すような翼角を前進位置迄ハンドポンプでサーボピストンを動かしてピンで固定するものなどがある。
3・46図 非常用翼角固定装置(固定ボルトによる)
3・47図 非常用翼角固定装置(固定ピンによる)
3.6 遠隔操縦装置
 遠隔操縦装置は、船橋操縦室、機関制御室、または、その他の制御室より変節の命令を出し、それを油圧変節装置の変節制御部分に伝えて、翼角の変節を行なうものである。
 遠隔操縦装置には、電気式と空気式とがあるが、制御性に優れていることおよび制御の容易なことから現在では電気式が多く採用されている。
3.7 可変ピッチプロペラ装置の付属補機器
 可変ピッチプロペラ装置の付属補機器には、変節油ポンプ、変節油移送ポンプ、変節油冷却器などがある。
 
(1) 変節油ポンプ
 変節油ポンプは変節装置に変節油を供給するポンプであり、1軸に対して2台装備される。1台は常用ポンプであり、他の1台は予備ポンプである。2軸船の場合予備ポンプを右舷軸用と左舷軸用とを共通することもある。変節油ポンプは独立電動モータによって駆動されるものおよび主機関あるいは減速機から駆動されるものとがある。
 停止している予備ポンプは常用ポンプの変節油圧力が低下すると自動起動するようになっている。
 ポンプの型式としては、定容量型と可変容量型とがあるが、一般にねじポンプ、歯車ポンプ、べーンポンプなどの定容量型が使用される。
 
(2) 変節油移送ポンプ
 変節油移送ポンプは船底タンクおよび別置のサンプタンク(ドレンタンク)の変節油を重力タンクヘ移送するポンプである。また3・43図に示すような軸系内にサーボモータがある型式のものは、軸系の空所にグリースを充填しているので、重力タンクを必要としない。従って、変節油移送ポンプは装備しない。
 ポンプの種類としては、ねじポンプ、歯車ポンプ、べーンポンプなどが使用される。
また専用の移送ポンプを装備せず変節油ポンプを移送ポンプとして兼用する場合もある。
 
(3) 変節油冷却器
 変節油冷却器は変節油を冷却するために設けられる。しかしサンプタンク(ドレンタンク)やプロペラ軸、給油軸などを通しての放熱が十分の場合は、冷却器の装備を省略することがある。冷却器の型式はチューブ式である。








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