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2. 表面あらさの表示法
2.1 表面あらさ
 機械表面の小さい間隔で起こるでこぼこのことを表面あらさと言い、JISでは、最大高さ、十点平均あらさ、中心線平均あらさの3種類の表示法を規定している。
 ここでは、一般的に用いられている最大高さについて述べる。
 4・17図は、機械表面に直角な平面で表面を切断したとき、その切り口に表れる輪郭を拡大した断面曲線である。断面曲線から、4・2表に示す基準長さLを抜き取り、その間の平均線に平行な二直線間の距離をμm単位で表わした値を最大高さ(Rmax)という。
 μm:ミクロンと読み、1μm=0.001mm
 最大高さで表面あらさを指示するときは、4・2表の区分値を用いる。区分値は許しうる最大高さを表し、最大高さの区分値のあとにはSを付ける。例えば、4・17図でRmaxが10μmだとすれば、表面あらさの指示は12.5Sとする。
4・2表 最大高さの区分値と基準長さ
区分値
(μm)
(0.05) 0.1 0.2 0.4 0.8 1.6 3.2 6.3 12.5 (18)
基準長さ
(mm)
0.25 0.8 2.5
区分値
(μm)
25 (35) 50 (70) 100 (140) 200 (280) 400 (560)
基準長さ
(mm)
2.5 8  
     備考 ( )内の区分値は、とくに必要のないかぎり使用しない。
4・17図 断面曲線
2.2 表面あらさの表示
 表面あらさを表すには、表面記号又は仕上げ記号を用いる。
 
1) 表面記号
 表面記号は厳密に指定する場合に用いられるもので、表面あらさの区分値、基準長さ、加工方法の略号、加工模様の4つの記号を4・18図のように記入する。ただし、これらの記号は特に必要がない場合は省略することができる。表面記号に用いる加工方法の略図を4・3表に、又加工模様の記号を4・4表に示す。
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4・18図 表面記号の構成と記入例
4・3表 加工方法の略号
加工方法 略号 加工方法 略号
I II I II
旋削 L ホーニング仕上げ GH ホーン
穴あけ (ドリル加工) D キリ 液体ホーニング仕上げ SPL 液体ホーン
中ぐり B 中グリ バフ仕上げ FB バフ
フライス削り M フライス ブラスト仕上げ SB ブラスト
平削り P 平削 ラップ仕上げ FL ラップ
形削り SH 形削 やすり仕上げ FF ヤスリ
ブローチ削り BR ブローチ きさげ仕上げ FS キサゲ
リーマ仕上げ FR リーマ ペーパ仕上げ FCA ペーパ
研削 G 鋳造 C
4・4表 加工模様の記号
記号 × M C R
説明図 f1299_03.jpg f1299_04.jpg f1299_05.jpg f1299_06.jpg f1299_07.jpg f1299_08.jpg
意味 加工による条線の方向が記号を記入した図の投影図に平行。 加工による条線の方向が記号を記入した図の投影図に直角。 加工による条線の方向が2方向に交差。 加工による条線の方向が多方向に交差。または無方向。 加工による条線の方向がほぼ同心円。 加工による条線の方向が放射状。
 
2) 仕上げ記号
 仕上げ記号は、仕上げの大略を指定する場合に用いられる。仕上げ記号には三角形記号(▽)と波形記号(〜)があり、三角記号は除去加工を行う面に、波形記号は除去加工を行わない面に用いる。
 仕上げ記号を用いて表面あらさの程度を示すには、4・5表の区分値によるが、表面あらさを明確にするときには、表面記号に準じて表面あらさの区分値を付記することがある。
4・5表 仕上げ記号の種類
仕上げ記号 仕上げ程度 表面あらさの区分値 Rmax
なめらかなき地 特に規定しない
荒仕上げ 100 S
▽▽ 並仕上げ 25 S
▽▽▽ 上仕上げ 6.3 S
▽▽▽ 精密仕上げ 0.8 S
     注:仕上げ記号の三角は、正三角形とする。
 
3) 表面記号と仕上げ記号の記入法
 表面記号又は仕上げ記号は、次の要領で記入する。
 
[1] 4・19図(a)、(b)のように、記号は、指定する面、面の延長線又は面の寸法補助線に接して実体の外側に記入する。もし、それによりがたいときは、引出し線上に記入する(c)。
[2] 記号は、図面の下方又は右方から読める向きに記入する(a)。
[3] 記号は、その面を最もよく表す投影図に記入し、重複して記入しない(b)。
[4] 部品の全面を同一程度に仕上げるときは、(d)のように記号を部品番号の横か、部品図上の分かりやすい所に記入する。また、部品の大部分が同じ仕上げ程度で一部分が異なるときは、(e)のようにその記号を図の当該面上に記入するとともに、共通記号に続けて( )内に併記する。
4・19図 表面あらさの図面記入法








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