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2) コンピュータ搭載電子制御の必要性
 低NOx、低燃費率を実現するためには、燃料を出来るだけ高圧で、短時間に、しかも、最適の噴射タイミング、パターンでに噴射することによって得られる。
 補・83図に示すように、最適噴射時期は、エンジン速度と負荷(燃料噴射量)の組み合わせによって変わり、更にアフタークーラ空気温度によっても変わる。
 補・83図の中で、一枚一枚の曲面が、特定のアフタークーラ空気温度に対応しており、実際には多数の曲面で構成された、立体的データとなる。
 この図でも分かるとおり、運転条件の変化により、最適噴射時期にはクランク角で20度を越える差が生じ、これを機械式進角メカニズムで調整するには、その能力をはるかに越えるレベルとなるため、自由に進角を変えられる電子制御式が必要になる。
 更に、必要な進角、高圧、望ましい噴射パターンを得るには、同じ電子制御でも、ユニットインジェクタ式が高圧化に有利で、なおかつ、電磁制御弁組込ユニットインジェクタは、噴射制御の可動部の慣性が少なく、追従性に優れているため、噴射ポンプのラック、スリーブを電磁ソレノイドで操作する方式よりも有利となる。
 また、油圧駆動ユニットインジェクターは、カムリフトの制約もなく、より自由度がひろがる。

補・83図 燃料噴射時期

3) 電子制御システムの構成
 補・84図は電子制御システム構成の要点を示す。
 ECM(エンジンコントロールモジュール)がシステムの心臓部であり、制御コンピュータと、制御プログラム、データ用のメモリを内蔵している。
 ECMは、クランク位置、各部圧力、温度等のセンサ類よりのエンジン運転状態を示す信号と、スロットル等によるユーザ操作要求信号を取り入れ、これらに基ずいて、制御プログラム、および制御用データによる演算、判断を行い、この結果でユニットインジェクタの電磁ソレノイドに燃料噴射量、時期の制御信号を発信すると共に、コントロールパネル部に、各種表示、警報信号を送る。
 これらの、情報、信号のやり取りは、すべて堅牢な特殊防水防油ソケットを使用したワイヤハーネスにより行われる。
 また、制御プログラムには、通常の電子ガバナの機能が組み込まれているので、ドループ特性など、従来のガバナと同じ使い勝手が得られる。

補・84図 エンジン電子制御システム

4) 燃料噴射のメカニズム
 この電子制御システムで、ECMよりの制御指令に即応し、高圧燃料噴射を実現するハードウエアの中心が、補・85図に示すメカニズムである。
 シリンダヘッドには、電磁ソレノイドで作動する燃料流量制御弁を組み込みこんだ、ユニットインジェクタを装着しており、高圧の下で、燃料噴射時期、噴射パターンが自由にコントロール出来る。
(HEUI式の場合は、蓄圧室に保有する高圧作動油で、このプランジャを、油圧駆動することにより高圧噴射を得ており、より自由に噴射時期を制御できる。)
 ユニットインジェクタ部全体は、ヘッドカバー内部に密閉されており、ECMよりの制御信号は、シリンダヘッド部に設けられた、特殊防水ソケットを介して送り込まれる。
 これで分かるように、ここで扱っている電子制御エンジンでは、従来のガバナハンドルに相当するスロットルはあるが、噴射量コントロールの燃料ラックやリンク類はなく、これに相当するコントロールは、すべてECMよりの制御指令信号により、電磁制御弁が直接行う。
 また、エンジン回転速度や、燃料噴射量の制限は、制御プログラム内に設定されるため、機械的な方法でこの制限を変更する事は出来ない。

補・85図 EUI燃料噴射部








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