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6) 腐食
 腐食は軸受の合金面の穴となって表われる。ピンホール状の小さい穴が散在するものから、これらが密集発達して、やや大きな穴となるものもある。
 軸受合金は材質によって腐食に対する抵抗の度合が異なる。アルミニウム錫等を素地とする合金は腐食し難く、銅、鉛を素地とする合金は腐食しやすい。したがって銅鉛合金は鉛やインジュウを含むことにより耐食性を改善したオーバレイによって合金の耐食性をカバーする対策もとられる。
 腐食は化学現象と考えられるが、「スキマを小さくすると表面の剪断応力の繰り返しにより表面から損傷が起るので、腐食によって損傷がはなはだしくなる。特に耐食性の劣る銅鉛合金でいちじるしい」という説は注目に値する。

補・27図 腐食の例
7) 浸食
 表面の変化、浸食という点で、キャビテーション(軸受面)、フレッチング(裏金面)、電食(軸受面、軸面)を共に浸食として取扱う。
(1) キャビテーション
 キャビテーション気泡の崩壊による圧縮力は、ヘルツ応力として表面のごく近くにしか作用しない。軸芯の急激な反転、流れの急激な変化、断続の際には、油中のスキマはガスの吸込、気泡の発生により補われ、次の瞬間にこれらのキャビテーション気泡が軸受面で砕ける際にピークロードを発生し、キャビテーション浸食となる。特に衝撃荷重を受けたり、急激な振動下で作動するような場合、潤滑油膜中に生じた圧力が金属表面を損傷するという問題が重要となる。この種の損傷、高速流体による浸食的損傷、キャビテーションなど液体を通じて伝わる力が金属に与える損傷について注目する必要がある。

補・28図 浸食の例
(2) フレッチング
 裏金背面又は合せ面で金属の微振動により、微小な表面酸化、ハクリを繰り返し、フレッチング現象となる。接触部の下地金属は塑性変形をおこし、その結果保護酸化膜は延ばされたり、変形したり、傷ついたりして、金属はより酸素と結合しやすくなり、反応は一層進みやすくなる。もしすべりがあると小さな金属結合がつぎつぎと生成剪断されるので、新鮮な表面もつぎつぎと露出することになり、反応は一層促進する。

補・29図 フレッチングの例
(3) 電食
 電気用機器の場合に、軸と軸受間の通電で起る。硬い側の軸も同様に浸食されるのが特徴となる。








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