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8・2図 船舶検査の項目一覧
注) 1. 上表は国際航海に従事する一般貨物船の場合である。
  2. 「効力試験」とは、当該設備の効力が保持されていることを確認するための検査である。
  3. 「資料」とは、船長に供与される「復原性資料」である。

(3) 臨時検査
(A) 船舶の堪航性又は人命の安全の保持に影響を及ぼす恐れのある改造で、例えば次に掲げるものは臨時検査が必要である。
 機関に係わる物件の性能もしくは形式の異なるものとの取り替え、又は機関の主要部についての変更で機関の性能に影響を及ぼすもの。
 ・ 「機関」とは、船舶の主機、プロペラ軸系、補助機関、ボイラ、圧力容器、補機及び管装置のうち、主要な補助機関以外の補助機関を除いたものをいう。
 ・ 「主要な補助機関」とは、発電機(非常電源の用に供するものを除く。)を駆動する補助機関及び船舶の推進に関係ある補機を駆動する補助機関をいう。
 ・ 「船舶の推進に関係のある補機」とは、シリンダピストン、燃料弁、冷却器等の冷却ポンプ、燃料油や潤滑油の移送ポンプ、送風機、空気圧縮機及びビルジポンプ等をいう。
 ・ 「形式の異なるもの」とは、その物件固有の基本的な構造、機構又は作動方式が異なるものをいう。例えば、付属品の一部変更などはこれに該当しない。また、同一形式のものを2社以上で生産する場合には、単にメーカが異なることのみでは「形式の異なるもの」とはみなさない。さらに形式が同一のものであって、例えば、ディーゼル機関の連続最大出力、連続最大回転速度等が異なる場合は、「性能が異なるもの」として扱う。
 ・ 「機関の主要部」とは、
 [1] 内燃機関にあっては、クランク軸、ピストン棒、連接棒、クロスヘッド、支柱ボルト、連接棒上下の軸受ボルト、クロスヘッドボルト、主軸受ボルト、溶接構造の架構及び台板、軸継手及び軸継手ボルト(クランク軸相互及び出力側のものに限る)並びに排気タービン過給機(タービンロータ、タービン羽根、ブロア(インデューサを含む)及びブロアシャフトに限る)
 [2] 動力伝達装置にあっては、動力伝達軸及び歯車、軸継手及び軸継手ボルト並びに特殊継手の動力伝達部分
 [3] 軸系にあっては、スラスト軸、中間軸、プロペラ軸、発電機又は船舶の推進に関係のある補機に動力を伝達する軸、軸継手、軸継手ボルト、プロペラ羽根及びプロペラ羽根取付けボルト
 [4] 管装置にあっては、1類管及びこれに取り付ける弁、コックその他の管取付け物
 [5] 推進軸系のクラッチ、流体継手、弾性継手
 [6] 主機、主要な補助機関の遠隔操縦装置又は自動制御装置
 [7] 内燃機関の逆転機又は減速装置の動力伝達部分
(B) 次に掲げる修理は臨時検査が必要である。
船舶の堪航性又は人命の安全の保持に影響を及ぼす恐れのある作業で、例えば次に掲げるものをともなう修理。
 [1] 機関の主要部について削整、補強、溶接、その他の作業で機関の性能に影響を及ぼす恐れのあるもの。
 [2] 複雑又は特殊な技量又は装置を必要とする作業。
 [3] 主機、補助機関、排気タービン過給機、クランク軸、プロペラ、プロペラ軸、プロペラ軸系のクラッチ、流体継手、500馬力(367.5kW)以上の機関に用いられる弾性継手、逆転機、減速機の取替え修理は、予備検査合格品であっても臨時検査の対象となる。それ以外の部品の交換、例えばピストン、シリンダヘッド等で予備検査合格品の取替え修理は臨時検査の対象にはならない。
(C) 特定の事項について指定を受けた臨時検査を受けるべき時期に至ったとき。
(D) 海難その他の事由により検査を受けた事項につき、船舶の堪航性又は人命の安全の保持に影響を及ぼす恐れのある変更が生じたとき。
(E) 満載喫水線の位置その他船舶検査証書に記載された条件の変更を受けようとする時。
(4) 製造に係わる予備検査を受けることができる物件(機関関連)
内燃機関*、船内外機*、船外機*、排気タービン過給機*ポンプ、油圧ポンプ、油圧モータ、圧力容器、熱交換器、空気圧縮機、固定ピッチプロペラ*、可変ピッチプロペラ*、及び管海官庁が指定するその他の機関。
シリンダ、シリンダライナ、シリンダヘッド、ピストン、クランク軸、タービンの部品、プロペラ翼*、軸系のクラッチ、逆転機*、弾性継手、変速装置*、中間軸、逆転機軸、スラスト軸、プロペラ軸*及びその他の動力伝達軸、船尾管その他管海官庁が指定する水圧試験を必要とする機関部品、管海官庁が指定するその他の機関部品、遠隔操縦装置用制御盤。
注:*印は改造、修理又は整備について予備検査を受けられる。
3) 検査の申請及び受検申込み
 [1] 定期、中間又は臨時検査を受けようとする者(船舶所有者)は、船舶検査申請書に船舶検査手帳等を添えて検査機関に提出する。
 [2] 予備検査を受けようとする者は、予備検査申請書に関係書類を添えて検査機関に提出する。
 [3] 検査申請後の受検申込みは、検査機関の処理方式に従って申込みを行う。
 検査を受ける場合は、検査着手前に2)項(1)検査着手前の打ち合わせに記載のとおり検査機関と十分に打ち合わせを行い、検査を受ける事項について、検査の準備をしなければならない。
(1) 定期検査
 第2回以降の定期検査における機関の検査は、機関室、ボイラ室、冷凍機器及びその管装置の一次冷媒系統の露出部分、並びにタンカにあっては、ポンプ室、諸管装置、自動呼吸弁、火災防止用金網等について、外観検査を行うほか、施行規則第24条第2号(第30条第2項に係わるものを除く。)及び第30条第1項の規定により、準備された状態で行う。
 検査準備の項目と範囲については、8・8表のとおりである。
(2) 第1種中間検査及び第3種中間検査
 第1種中間検査又は第3種中間検査における機関の検査は、機関室、ボイラ室、冷凍機器及びその管装置の一次冷媒系統の露出部分並びにタンカにあっては、ポンプ室、諸管装置、自動呼吸弁、火災防止用金網等について外観検査を行うほか、第1種中間検査にあっては施行規則第25条第1項第2号及び第30条第1項の規定、第3種中間検査にあっては施行規則第25条第4項第2号及び第30条第1項の規定により、準備された状態で行う。
 検査準備の項目の範囲については、8・8表のとおりである。
 ただし、以下の場合にはこれを一部省略又は効力試験に代えることがある。
 a. 分割検査又は継続検査を実施している船舶以外の船舶の機関であって、新造の主機、補助機関又は補機(過給機、送風機及び空気圧縮機に限る。)を備え付けた後、初めて第1種中間検査等(平水及び限定沿海を航行区域とする旅客船にあっては特1中(旅客船について毎年行われる第1種中間検査のうち、定期検査合格後2回目又は3回目の時期に行われる機関、電気、救命設備、海上運転等の強化された検査を行う第1種中間検査。以下同じ。)とする。)を受ける場合は、当該機関については、保守・整備に関する記録、事情聴取等から判断して船舶検査官が差し支えないと認める場合は、効力試験(海上運転)のみとすることができる。
 b. 分割検査又は継続検査を実施している船舶以外の船舶で船舶設備規定第183条の規定による電力を供給できる容量の発電機を2台以上備え付けている場合であって、当該発電機を駆動する補助機関の保守整備に関する記録、事情聴取等から判断して船舶検査官が差し支えないと認める場合は、1台については船舶安全法の定期検査等を受ける場合の準備を定める告示第10条第2項に掲げる準備とし、これ以外の発電機を駆動する補助機関については船内負荷による効力試験とすることができる。
 c. 平水及び限定沿海区域を航行区域とする旅客船については特1中以外の第1種中間検査時には、保守整備に関する記録、事情聴取等から判断して船舶検査官が差し支えないと認める場合は、解放検査に代えて効力試験(海上運転)とすることができる。
(3) 第2種中間検査
 第2種中間検査における機関の検査は、機関室及びボイラ室並びにタンカにあってはポンプ室、諸管装置、自動呼吸弁、火災防止用金網等について外観検査を行うほか、施行規則第25条第2項第2号及び第30条第1項の規定により準備された状態で効力試験を行う。
 検査準備の項目と範囲については、8・8表のとおりである。
(4) 発電機を駆動する補助機関の検査
 分割検査又は継続検査を実施している船舶以外の船舶で船舶設備規程第183条の規定による電力を供給できる容量の発電機を2台以上備え付けている場合は、定期検査及び第1種中間検査等(平水及び限定沿海区域を航行区域とする旅客船にあっては特1中とする。)の時期に半数ずつ交互に定期検査の準備による解放検査を行い、他の機関は運転整備記録の確認及び船内負荷による効力試験とすることができる。
(5) 検査準備の項目と範囲
 検査準備の項目と範囲は8・8表のとおりである。ただし、小型船舶については8・9表による。
8・8表 検査準備の項目と範囲
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注記: 1. 表中の○印は検査準備を必要とする項目
  2. 表中の×印は検査準備を必要としない項目
  3. 表中の*印の項目は当該英文字の注記を参照のこと
  4. 表中の定期検査は第2回以降の定期検査
  *a: 主機のうち、内燃機関のシリンダライナの取り出しは、4シリンダ又はその端数毎に1個取り出した状態で行う。ただし、清水冷却又は出力350馬力(257kW)未満の主機(製造後9年以上を経過したものを除く。)に使用するものにあっては、取り出さない状態でよく、また、保守整備記録簿に記載された取り替え記録を参考にして、取り出す数を減じてもよい。
 なお、清水冷却の主機で製造後9年以上を経過したものであっても水質管理を行っているものは、その記録から判断して船舶検査官が差し支えないと認める時には取り出さなくてもよい場合がある。
  *b: 主機のうち、内燃機関のクランク軸の開閉量の測定は、遠洋区域若しくは近海区域を航行区域とする船舶(小型遊漁兼用船であって、漁労をしない間の航行区域が沿海区域又は平水区域であるものを除く)又は、長さ30m以上の第2種漁船若しくは第3種漁船について行う。また、その他の船舶であって、製造後9年以上を経過した主機についても計測を行う。なお、その他の主機についても、できる限り測定するようにする。
  *c: 空気圧縮機、ポンプ、熱交換器(加熱器を含む。)、こし器及び圧力容器(始動用空気タンク)については解放整備の記録を調査し、船舶検査官が差し支えないと認める場合には解放検査の立会が省略されることがある。
  *d: シリンダカバー(全数)を取り外すのみでよい。
  *e: クランクピンの受金の1/3に相当するクランクピンの受け金を取り外し、かつ、クランク軸を回転できるようにするのみでよい。
  *f: 内部を検査できるように解放するのみで、作動部分の取り出しは不要。
  *g: 減速装置ののぞき孔のカバーを取り外すのみでよい。ただし、のぞき孔がない減速装置にあっては歯車の歯を検査できるように解放する。
  *h: 海水潤滑式の船尾管軸受け(張り出し軸受けを含む)を有するゴム巻き、一体スリーブ又はそれと同等以上と認められた防食加工を施された軸又は油潤滑式船尾管を有する軸の場合は、第1種中間検査(旅客船にあっては、特1中とする)又は第3種中間検査を省略することができる。
 第2種プロペラ軸については、船底検査の時期に合わせて行うこととし、定期検査時並びに貨物船にあっては第1種中間検査の時期、旅客船にあっては2年目又は3年目の第1種中間検査の時期、外航貨物船にあっては第3種中間検査の時期に行う。
 プロペラの取り外し検査は、定期検査時並びに貨物船にあっては第1種中間検査の時期、旅客船にあっては2年目又は3年目の第1種中間検査の時期、外航貨物船にあっては第3種中間検査の時期とする。ただし、定期検査でプロペラの取付部について精密探傷検査及びキーレスプロペラの場合押し込み量の計測を行った場合は、次回の定期検査まで取り外さなくてよい。
  *i: 羽根の取り外しは1枚のみでよい。
  *j: 内部を検査できるように解放するのみで、作動部分の取り出しは不要。
 空気圧縮機、ポンプについては保守整備に関する記録、事情聴取から船舶検査官が確認し差し支えないと認める場合に、解放検査を省略し効力試験とすることがある。
  *k: 海水系のこし器については保守整備に関する記録、事情聴取から船舶検査官が確認し差し支えないと認める場合に、解放検査を省略し効力試験とすることがある。
  *l: ボイラに係るもののみでよい。また、旅客船のボイラについては、特1中以外の第1種中間検査において、缶水の管理記録、清缶剤の投入記録等の保守管理記録等から判断して船舶検査官が差し支えないと認める場合は、解放検査を省略することができる。
8・9表 検査準備の項目と範囲(小型船舶等)
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注記: 1.表中の定期検査は第2回以降の定期検査
  2.表中の○印は検査準備を必要とする項目
  3.表中の×印は検査準備を必要としない項目
  4.表中の*印の項目は当該英文字の注記を参照のこと
  *a: シリンダカバー(全数)を取り外すのみでよい。
  *b: クランクピンの受金の1/3に相当するクランクピンの受け金を取り外し、かつ、クランク軸を回転できるようにするのみでよい。
  *c:  減速装置ののぞき孔のカバーを取り外すのみでよい。ただし、のぞき孔がない減速装置にあっては歯車の歯を検査できるように解放する。
  *d: 海水潤滑式の船尾管軸受け(張り出し軸受けを含む)を有するゴム巻き、一体スリーブ又はそれと同等以上と認められた防食加工を施された軸又は油潤滑式船尾管を有する軸の場合は、第1種中間検査(旅客船にあっては、特1中とする)又は第3種中間検査を省略することができる。
 第2種プロペラ軸については、船底検査の時期に合わせて行うこととし、定期検査時並びに貨物船にあっては第1種中間検査の時期、旅客船にあっては2年目又は3年目の第1種中間検査の時期、外航貨物船にあっては第3種中間検査の時期に行う。
 プロペラの取り外し検査は、定期検査時並びに貨物船にあっては第1種中間検査の時期、旅客船にあっては2年目又は3年目の第1種中間検査の時期、外航貨物船にあっては第3種中間検査の時期とする。ただし、定期検査でプロペラの取付部について精密探傷検査及びキーレスプロペラの場合押し込み量の計測を行った場合は、次回の定期検査まで取り外さなくてよい。
  *e: 羽根の取り外しは1枚のみでよい。
  *f: 湖川を航行する船舶は除く。
  *g: 空気圧縮機、ポンプ、熱交換器(加熱器をふくむ。)、こし器及び圧力容器(始動用空気タンク)については解放整備の記録を調査し、船舶検査官が差し支えないと認める場合には解放検査の立会を省略することがある。
  *h: 空気圧縮機、ポンプについては保守整備に関する記録、事情聴取から船舶検査官が確認し差し支えないと認める場合に、解放検査を省略し効力試験とすることがある。
  *i: 燃料油タンクの内検は、外観検査により現状が良好と認められる場合は省略することがある。
  *j: ボイラに係るもののみでよい。また、旅客船のボイラについては、特1中以外の第1種中間検査において、缶水の管理記録、清缶剤の投入記録等の保守管理記録等から判断して船舶検査官が差し支えないと認める場合は、解放検査を省略することができる。

5) 検査の特例
(1) 分割検査
 a. 分割検査とは、二重底(タンク)、同型の複数の機関等(主機、主要な補助機関、動力伝達装置、推進軸系、補機等)について、証書の有効期間内に受けることとなる定期検査及び中間検査の内容を当該証書の有効期間内にすべてが終了し、かつ、個々の物件の精密な検査と簡易な検査の間隔が3年を超えないように定期検査及び中間検査に、又は定期検査、中間検査及び臨時検査に分割して行う検査方式である。
 b. 分割検査を希望する船舶所有者は、分割検査計画書に船舶検査手帳(写)、船舶件名表(写)及びその他必要とする資料を添付のうえ、管海官庁に申請し承認を受けなければならない。また、管海官庁から返却された分割検査計画書は、船舶検査手帳とともに保管しなければならない。
(2) 継続検査
 a. 継続検査とは、次に掲げる主機、補助機関、動力伝達装置、軸系及び排水設備の各部分並びにこれら関係ある補機、管装置及び圧力容器については、これらの機関の定期検査の内容も5年を超えない間隔で、かつ全部が5年以内に一巡するよう定期的に順次行い、異常を発見しない場合には、定期検査及び中間検査時の解放検査が省略できる検査方式である。
 [1] 製造検査(予備検査において製造検査に準じて検査を行ったものを含む。)を行った内燃機関の主機及び推進軸系の動力伝達装置を搭載する船舶であって、当該船舶の機関の現状及び保守が良好なもの。
 [2] 同型の内燃機関によって駆動される推進軸系を2以上有する船舶又は2以上の同型の内燃機関によって推進軸系を駆動する船舶であって当該船舶の機関の現状及び保守が良好なもの。
 b. 機関の継続検査
 機関の継続検査については、次による。
 [1] 継続検査計画書の承認
継続検査を実施する場合には、船舶所有者から継続検査計画書(様式は特に定めていない)、船舶検査手帳、船舶件名表、当該船舶の「機関保守整備基準」及びその他必要とする資料を添付のうえ管海官庁に申請し、計画の承認を受けなければならない。また、返却された継続検査計画書は、船舶検査手帳と共に保管しなければならない。
 [2] 継続検査計画書
  継続検査計画書は次に示す事項を考慮して作成すること。
 ・ 継続検査を希望する検査対象機関の機器名称がすべて含まれていること。
 ・ 継続検査は定期的検査の時から開始し、対象機関のすべての検査を5年後の定
  期的検査までに一巡するよう計画されていること。
  また、検査実施過程において、計画書に部分的な変更が生じた場合には、船舶検査官が内容を検討し、差し支えないと認められた場合には計画を修正し、それに従った検査とすることができる。この場合、計画書にはその旨が記載される。
 [3] 継続検査の対象となる機関の検査の方法
 (a) 主機については、5年以内で一巡するように各回に分割して検査する。
 (b) 発電機駆動機関については、主機と同様に行ってよい。ただし、2台以上有する船舶にあっては、各機関を順番に毎回、かつ、5年を超えない範囲でできる限り等間隔で検査を行ってもよい。
 (c) (a)及び(b)以外の機関であって、搭載個数が単数の場合における検査の時期はなるべく各回に均等になるように定めるものとし、かつ、検査間隔もできる限り等間隔とすること。また、同一用途に使用される機関であって、2台以上有する場合にあっては、順番に、かつ、できる限り等間隔で検査を行う。
 (d) 検査した箇所に欠陥が発見された場合には、他の類似機関について詳細な検査を行う。
 (e) 通常における機関の保守及び整備状況を確認するため、保守・整備記録簿、機関日誌等の調査を行う。
 (f) 空気圧縮機、ポンプ、熱交換器等の補機類については、解放整備の記録を調査し、船舶検査官が差し支えないと認める場合は、解放検査の立会を省略することがある。
 [4] 継続検査の特例
 主機を2台以上備え付けている船舶の主機については、毎年半数ずつ交互に定期検査の準備による解放検査を行い、解放検査を行わない主機は海上運転による効力の確認とすることができる。(この場合、毎年海上試運転を行うことになる。)
(3) 機関計画保全検査等
 優良・適切な保守管理が行われていると認められる船舶にあっては、定期的検査時に船舶検査官が運転時間などを基準に定めた機関保全計画にしたがって自主的に解放点検された機関等の保全計画を調査し、当該機関が適切に保守されていることを確認する検査方式とすることがある。
 [1] 条件
 (a) 計画保全検査適用開始時に原則として製造後15年未満の機関を対象とし、計画保全計画書に従った保全を実行することができる体制を有していること。
 (b) 保全内容及び間隔は、機関製造者の取扱説明書に記載されたもの又は当該船舶運航者において十分な実績を有するものであること。
 (c) 旅客船にあっては、2機2軸以上装備していること。
 (d) 旅客船にあっては、解放検査を行わない定期的検査時には海上試運転を行い機関が良好であることを確認すること。
 [2] 計画書の承認
 計画保全検査により検査を行う場合には、船舶所有者から機関保全計画書(主として機関の運転時間を指標として、機器、装置、主要部品毎の解放点検部品交換、整備の時期を記載したもの)、受検計画書(定期検査から次の定期検査までの間に機関長の責任において定期的検査時に、船舶検査官が確認する保全項目を記載したもの)に機関長の経歴及びその他必要な資料(継続検査の場合に準じた資料及び保守管理の状況が判断できるもの)を管海官庁に提出し、計画の承認を受けなければならない。管海官庁から返却された計画書は、船舶検査手帳と共に保管するとともに、機関長が行った保全に関しては保全記録に記載し、機関長の署名捺印のうえ船内に保管しなければならない。
 [3] 計画保全検査の実施方法
 定期的検査時には、保全が機関保全計画書及び受検計画書に従って行われ、かつ、保全記録が正しく記載・保存されており、機関の現状が良好であることを確認して、受検計画書に従い船舶検査官の立会が必要な項目の検査が行われる。これらの検査の結果良好な保守が実施されていないと認められた場合には解放検査が行われる。
(4) 稼働時間の短い船舶の機関の検査
 a. 旅客船(湖川のみを航行するものを除く。)、特殊船、国際航海に従事する船舶又は分割検査若しくは継続検査を実施している船舶以外の船舶の主機又は補助機関であって、前回機関の解放を行った検査(定期検査の方法に従って機関の解放を行った場合に限る。)の後の使用時間が、当該検査の次の定期的検査(定期検査又は第1種中間検査をいう。)の時期までに5、000時間を超えないと推定されるものについて、保守・整備に関する記録、事情聴取等から判断して船舶検査官が差し支えないと認める場合は、当該機関の解放検査に代えて、外観検査及び運転検査とすることがある。 ただし、機関の解放検査の間隔が10年を超えることはできない。
 また、使用時間の推定は、当該船舶の機関の使用時間の実績から年間平均稼働時間を算出することにより行う。この場合の使用時間の実績は積算回転計または回転時間計により確認する。
 ただし、これらの計器が備え付けられていない場合であって船舶検査官が差し支えないと認めるときは、機関の運転時間が確認できる日誌などにより確認することがある。
 b. 稼働時間の短い旅客船(湖川のみを航行するもの、または分割検査若しくは継続検査を実施しているものを除く。)の主機又は補助機関(付属する過給機および送風機並びに動力伝達装置を含む。)であって次の[1]から[3]までのすべての条件を満たす場合には、使用時間によって定めた検査要領によることがある。この場合、定期検査の方法に従って行う解放検査の間隔はa項と同様とする。なお、検査要領を定める場合は、管海官庁と相談すること。
 [1] 積算回転計又は回転時間計等で使用時間を確認できること。
 [2] 2機2軸以上、又は補助機関を2台以上装備し、1台が故障しても航行に支障のないこと。
 [3] 機関の保守整備基準に基づき定期的な保守整備を行っていること。
(5) 附属書Hの規定に基づき管海官庁の証明を受けた特定のサービス・ステーション等において整備された物件等に係わる検査の特例
 a. 特定の事業者が行う船舶電気ぎ装工事に係わる検査
 b. 特定の降下式乗込装置サービス・ステーションにおいて整備された降下式乗込装置の検査
 c. 特定のGMDSS設備(GMDSS航海用具(ナブテックス受信機、高機能グループ呼出受信機、VHFデジタル選択呼出装置及びデジタル選択呼出聴守装置)並びにGMDSS救命設備(浮揚型極軌道衛星利用非常用位置指示無線標識装置、レーダー・トランスポンダー、持運び式双方向無線電話装置、固定式双方向無線電話装置及び非常用位置指示無線標識装置))サービス・ステーションにおいて整備されたGMDSS設備の検査
 d. 特定の事業者が行う航海用レーダー及び自動衝突予防援助装置の装備・整備に係わる検査
 e. 特定のサービス・ステーションが行う内燃機関等の解放整備に係わる検査
 管海官庁から附属書H−6.の規定に基づき証明を受けたサービス・ステーションが当該附属書において適用対象としている内燃機関等を整備マニュアルにより解放整備する場合は、船舶検査官が次に掲げる手順で整備状況等を確認することにより、解放検査の立合を一部省略する。
 ただし、異常な不具合が発生した内燃機関等で原因究明及び再発防止を行う必要があるものについては適用されない。
 [1] 解放整備の方針を確認するため、機関の主要目、整備履歴、運転時間等を調査したうえで、必要な整備マニュアル、設備、点検方法、作業工程について打ち合わせる。
 [2] 解放整備が打ち合わせた整備点検方法で正しく確実に行われていることを確認するため、整備状況の立ち入り調査を行う。
 [3] 解放整備が正しく確実に行われていること及び異常な不具合がないことを確認するため、整備記録をもとにヒアリング等を行う。
6) 附属書H−6.内燃機関等の解放整備を行う特定のサービス・ステーションの証明
(1) 適用
 主機又は補機である機関(旅客船の機関を除く。)であって、次のサービス・ステーションの区分毎に掲げる連続最大出力以下のディーゼル内燃機関(機付き過給機、ポンプ類等を含む。)及びクラッチ等動力伝達装置の解放整備を行う事業者に適用する。
 1種サービス・ステーション:2、206kW(3、000PS)
 2種サービス・ステーション:  735kW(1、000PS)
(2) 申請
 証明を受けようとする事業者は施設、機器、人員、整備実績等の内容を記載した書類を添付した正副各1通の証明願いをそろえて管海官庁に申請する。
 ただし、管海官庁が差し支えないと認める場合は、添付すべき書類の一部の提出を免除する。
(3) 証明
 管海官庁は、内燃機関等の解放整備を行うサービス・ステーションを別記「内燃機関のサービス・ステーションの施設等の基準」に適合しているものと認めようとするときは施設、人員、整備実績等の内容を調査する。
(4) 証明書の交付
 管海官庁は、内燃機関等の解放整備を行うサービス・ステーションを別記の基準に適合すると認めたときは、サービス・ステーションに対して証明書を交付する。
(5) 地位の継承
 サービス・ステーションについて相続又は合併があったときは、相続人又は合併後の存続する法人若しくは合併により設立した法人は、サービス・ステーションを継承する。
(6) 証明書の書換え
 証明書の記載内容に変更が生じた場合は、管海官庁に証明書の書換えを申請する。
(7) 証明の取り消し
 証明書の備考の取り消し事由に該当する場合又は資格を取り止めたい旨届け出があった場合等、取り消すのが適当な場合は、管海官庁は証明を取り消し、サービス・ステーションは速やかに証明書を返納する。
7) 別記「内燃機関等の解放整備を行うサービス・ステーションの施設等の基準」
(1) 適用
 この基準は、内燃機関等の解放整備を行うサービス・ステーションに適用し、その施設及び人員等についての基準を定めたものである。
(2) サービス・ステーションの施設
 サービス・ステーションは、内燃機関等の解放整備に係わる業務を円滑に行うため、次の条件に適合する施設を設けなければならない。
 a.  内燃機関等の解放整備を行うために必要な機器等の保管場所。
 b.  試験及び計測を行うために必要な機器の保管場所。
(3) 整備業務実施上の責任者等
 サービス・ステーションは、第1表に掲げる区分毎に、第2表に掲げる技能者を有していなければならない。
 また、サービス・ステーションで舶用機関の整備に従事する人員の1/4以上は第2表の種別3の技能者又はこれと同等以上の者であること。
第1表
区分 必要な人員
1種サービス・ステーション 第2表の種別1に掲げる技術者 1名
第2表の種別2に掲げる技術者 2名
第2表の種別3に掲げる技術者 1名
2種サービス・ステーション 第2表の種別1に掲げる技術者 1名
第2表の種別2に掲げる技術者 2名
第2表
種別 技能の内容
1  全般的な舶用機関整備技術に精通し、整備上の責任者として、整備作業の計画立案、管理、最終的な技術上の判断等を行う能力を有する者。
2  高度な舶用機関整備作業を行い、かつ、整備作業者を指導監督する能力を有する者。
3  一般的な舶用機関整備作業を行う能力を有する者。

(4) 機器及び備品類等
 サービス・ステーションは、次に掲げる機器及び備品類を備えておかなければならない。
・ 内燃機関の分解及び組立に必要な工具類
・ 計測機器類(ノギス、マイクロメータ、定盤、デフレクション計測ゲージ)
・ 磁気探傷装置
・ 浸透探傷の設備
(5) 整備点検記録の作成
 サービス・ステーションの整備点検責任者は、船舶毎に2・14表(46頁〜51頁記載)の様式に基づく整備点検記録を作成し、保管しなければならない。
(6) 実績
 サービス・ステーションは、内燃機関等の解放整備について十分な実績を有していなければならない。








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