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1. 研究の目的
 本研究は平成11年度から平成13年度の3ヵ年にわたり実施した。なお、平成10年度には本研究を開始するに当っての検討・審議が行われた。
 近年、国内外の船主から、「従来のVLCCに比較して、近年建造されたVLCCタンカーのカーゴオイルタンク(以下COT:Cargo Oil Tank)に腐食が多く発生している」あるいは「COTの天井部(上甲板裏面)に発生する全面腐食やタンク底板の孔食が多い」と言った声が聞かれるようになった。
 本委員会では、VLCCのCOT内に発生する腐食に対する疑問に対し、正しく正面から取り組み、その腐食発生原因を明確にすることで、原油タンカーの信頼性を高めることを目的として本研究を実施した。その際、従来のVLCCと最近建造されるVLCCにおいて、腐食環境として大きく異なる次の2点の影響を明らかにすることを目指した。
 [1] 実船の腐食および腐食発生状況に及ぼすシングルハル(以下S/H:Single Hull)とダブルハル(以下D/H:Double Hull)の船型の影響
 [2] 船体やタンクに使用されている軟鋼(以下MS:Mild Steel)とTMCP(Thermo Mechanical Control Process)鋼の腐食に対する耐食性の差異.
 具体的には、実船調査による腐食実態把握を中心にして、各種データの分析、文献調査等により補完しながら腐食メカニズムの仮説を構築し、その仮説を実船暴露試験や実船腐食モニタリング、さらには、実験室試験により検証することで腐食発生に及ぼす影響因子の究明ならびに発生メカニズムの解明を行った。
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図1 「原油タンカーの新形コロージョン挙動の研究」の解明方法/工程








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