本装置は平成12年度身体障害者用ヨット開発事業により開発されたバリアフリーヨットYAJ26(船名:有明)に装備されているデッキからキャビンに出入りする際に使用する昇降装置付椅子を改良しYAJ26の2号艇に設置する装置である。

　

　

　本装置は椅子部・昇降装置・油圧ポンプ・切替弁・油圧往復シリンダー(アクチュエータ)により主構成される。

　

1)	椅子部(AJ26の1号艇に使用したエレベータ、SUS部図、座席部図)
	座席は幅520mm、奥行540mmの座面を有し、FRPのサンドイッチ構造で裏側に20mmのフランジを残す。構造体は腐食しにくいステンレス材を使用、ステップ(フットレスト)は一体形で折りたたみ収納が可能なこと。肘掛(アームレスト)は左右のメインバースヘ移動できるよう回転または取外しが出来る事。15度以上ヒールしても油圧ポンプハンドルレバーの操作に支障が起こらない構造にする。具体的には着脱可能なカバーを付ける、もしくは同等の工夫を付ける事。座部裏側にスライド板を付け(上下に移動時は座面裏側等に収納する)、コンパニオンウェーからデッキ上のスライド椅子への移動の際の支え板があることが望ましい。
	詳細部の寸法はYAJ26の1号艇に使用したエレベータSUS部図面、座席部図面を参照すること。
2)	昇降装置(YAJ26の1号艇に使用したエレベータ配置図 )
	昇降装置はデッキからキャビンヘの移動上下距離800mmを椅子の自重＋使用者の体重(100kg)移動すること。コンパニオンウェーのサイドに設置するためスライダーレール、スライダーブロック及びブロック等は汐をかぶり腐食しにくい材料を使用すること。椅子吊り上げよロープは伸びが無く腐食しない材質のものを使用すること。キャビン内の取付けは指定位置に付けること。
	詳細部の寸法はYAJ26の1号艇に使用したエレベータ配置図面を参照すること。
3)	油圧系(リフト概要図面の船内配置図、配管展開図)
	油圧系は油圧ポンプ1台、切替弁1台、油圧往復シリンダー(アクチュエーター)保護ケース付き2台により構成される。それぞれは汐による腐食を防ぐために塗装及び汐に強い材質の物を使用すること。システムは2系統制御(デッキ、キャビン)を主に考える必要があるが、水密、設置場所、電動化の検討がされてない今回においては従来のキャビン内(座席上)からの制御を行うこととする(参考のため配管展開図に回路図を入れる)。
	油圧ポンプは手動式で取外し式ハンドルレバー(最大長500mm)での操作力は15kg以下(体重100kgの人使用)で操作出来ること。操作回数20回以下で昇降装置に設置された座椅子を800mm移動できる能力を有すること。
	油圧往復シリンダーは最大口80mm保護ケース(ステンテス製管等)内に収納できる大きさで、内径20mm、ロッド径14mm、ストローク800mm、ロッド先端は昇降装置テークルから来るシートが付けられるよう加工すること。シリンダー底部は保護ケースに設置できるよう加工すること。もちろんメンテナンスがし易い形状にすること。油圧往復シリンダーは1台の油圧ポンプで同期し作動すること。左右のロッドの動きに差異があるとスムースに昇降椅子が作動しなくなる。切り換え弁からの配管はシンメトリーにすること。
	保護ケースはメンテナンスの際取り出しが出来るように分割できること。
	切替弁は3位置4方位弁を使用すること。材質は腐食性の強いものを使用すること。最低でも表面は防錆塗料等で加工すること。
4)	その他
	昇降装置付椅子に使用するボルト・ナット類はステンレスを使用すること。

　

　昇降装置付椅子システムは基本的には分解搬入現場組立てとする。詳細に付いてはバリアフリーヨット開発委員会へ問い合わせ下さい。

　

　　1)　AJ26の1号艇に使用したエレベータ、SUS部図

　　2)　YAJ26の1号艇に使用したエレベータ、座席部図

　　3)　YAJ26の1号艇に使用したエレベータ配置図

　　4)　リフト概要図(船内配置図)

　　5)　リフト概要図(配管展開図)