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・サインの問題もある。“誰でもトイレ”とやると誰でも使ってしまうと思うので、その下に“身体の不自由な人が優先”をつける。検討していきたい。

 

・高山市がバリアフリー化していくことによって、障害者や高齢者が訪れる。それを市民がやさしく受けとめる。市民の方が社会に参画している。モチベーションが高まっていく。商品陳列を低くするとか、道路を広げてみたり、段差を解消するスロープを自ら作っていく。まち自体がバリアフリーに向けて市民が動いているような社会が高山市に現れている。トイレの数や面積の問題もあるが、社会のバリアフリー化、ユニバーサル化につながっていくようなことができればいいと思う。運輸省観光部では、補助金を出して、今年度の補正予算で全国に20数か所、バリアフリートイレを整備しようとしている。来年度は大規模な、バリアフリー観光空間、観光地全体をバリアフリー化するような補助金事業を展開しようと思っている。モデルとして、高山市に匹敵するようなバリアフリー空間ができればいいと思っている。

 

・障害者向けの何かを考える時に見落とされがちなのは、ロービジョンという立場。視覚障害者というと全盲ととらえがちだ。ロービジョン者というのは、正確ではないが100万人の説がある。それに加えて色弱が300万人いる。トイレがどこにあるのかという表示について、対応していく必要があることを強調しておきたい。

 

今後の心構えについて

 

・基本はできるだけ多くの人が使えること。最大公約数ではなく、いろいろな要求を丹念に拾い上げて吟味していく。100点満点は絶対ありえない。80点取れれば最高だと思う。できるだけ幅広く要求をきちんととらえていくことに尽きる。難しいことであるが、その努力をしながらやっていく。当事者に意見をいただくことが常に繰り返されていかなければいけないと思う。

スタンダードを作ることも意味があるが、それで満足してはだめ。福祉のまちづくり条例が自治体でできているが、ハートビル法の技術基準をそっくり写しているものが圧倒的に多い。その基準に沿って作ればいいわけではない。そのことを、つくる側も使う側もわきまえるべきだ。

 

・いわせっぱなしでなく、何らかの形でまた皆さんにお返ししながら、さらに議論が深まっていくようにしたい。具体的には、来年もう一度このような会を設けたい。同じメンバーだと同じ議論の繰り返しになりかねないので、他の方々(高齢者・外国人)にもある程度配慮しながら、ユニバーサルデザインの方向性を考えていきたい。

 

 

 

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