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少し前に比べて、トイレには非常に多様な機器が使われるようになり、それらを並べるだけで問題が簡単に解決するような誤解を与えます。そのような誤解があるがゆえに、とにかくたくさんの機器を並べることに全精力をつぎ込んでいるような事例を見ると、設計側の困惑もわかるような気がします。

 

●利用実態を反映する

 

このような中で、より多くの人にとって、もっと使いやすい公共トイレを作るには、いかに利用の現場を知るかということが重要になってきます。

トイレ内での利用形態は極めて個別的なものであり、ほとんどの場合において、他者が代わりに説明することはできません。しかし、公共トイレを作るには、それらの個別的な利用形態を普遍化して、ものづくりに反映する作業が必要であり、私はまさにこの作業こそが、トイレの品質を向上させていく上で最も重要なものだと考えています。

この作業は、大きく四つに分けられます(図1)。一つ目は、ものづくりに直接つながる事前検討。二つ目は、事前検討に基づいた実際のものづくり。三つ目は、ものができた後で行う事後評価。そして四つ目は、それらの作業で得られた情報の活用です。

 

図1 事前検討と事後評価

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出典:川内美彦『ユニバーサル・デザイン―バリアフリーへの問いかけ』(学芸出版社)

 

●九つの原則

 

 私はここに、図1で示した手順を行う際に留意すべき点として、以下に示す九つの原則を提案します(川内美彦著『ユニバーサル・デザイン―バリアフリーへの問いかけ』(学芸出版社)より)。

 

1] 参画の原則

・多様な人の幅広い参画

 

 

 

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