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主催者あいさつ

笹川陽平 (日本財団理事長・WHOハンセン病征圧特別大使)

 

司会:ここで、開会に先立ちまして主催者よりご挨拶申し上げます。ご挨拶は日本財団理事長・WHOハンセン病征圧特別大使の笹川陽平でございます。

 

笹川:ご紹介いただきました日本財団の笹川でございます。お暑い中に大変多くの方々にお集まりをいただきまして、ともすれば少し重い題の会合でございますけれども、逆に言えばこれだけ多くの皆さんが関心をお示しくださったということは、やはり日頃ちょっとさわりたくないことではありますが、やはり真剣に考えなければいけないという、こういう国民の声が集約されているのではないかという気がいたします。

司会者からお話がございましたように、日本財団はこの津の競艇場をはじめ24の競走場から資金をちょうだいしまして、国内はもとより国際的にも活躍をしている財団でございますが、その話をしますと私だけで2時間ぐらい時間が必要になってしまいますので省略します。関係のあることだけを少しご紹介いたしますと、今、きょうもお集まりの皆さんの中にいらっしゃるかもわかりませんけれども、日本のさまざまなボランティア活動をされている方々のご支援をいたしております。どうぞそういう方々はご興味がございましたならば、日本財団にご連絡をいただきますれば、うまくいくと資金の提供を受けられるかもわかりません。また、障害者やお年寄りを車で移動させる、あるいは寝たきり老人のお宅にお風呂を付けた車をいかせまして、お風呂に入っていただく、そういう入浴車というようなものを全国に配備をいたしておりますので、そういう点につきましても、ご要望がございましたならば、ぜひご連絡をいただきたいと思います。

今日は特にホスピスを中心としまして死を考えようということでございますが、日本財団ではホスピス運動を当初から日野原先生のご指導のもとにやっております。ともすれば医療が技術偏重になっておりまして、皆様方のご親族やあるいは友人の方々も、はたしてこういう病院の中で、こういう環境の中で人生の最期を過ごすというのは本当にいいことだろうかという疑問をお持ちのかたもいらっしゃるのではないかと思います。シェークスピアの言葉に「終わりよければすべてよし」という言葉がございますが、人生、やはり最後の瞬間が幸せであれば、その人の人生というものは本当にいい、意義のあったものになるわけでございますけれども、この終末において、そういう技術偏重の医療の中で、さびしく亡くなっていかれる方も、というよりもその方々のほうがはるかに多いわけでございます。私たちはそういう意味からも今ホスピス運動、ホスピスを全国に数多くつくっていって、それぞれの方の終末を死を迎えるにあたって心豊かになっていただこうと、そういう死に方こそが人間らしい死に方ではないかというふうに考えて運動を展開しておりますし、またそれにふさわしい看護婦さん、私たちは「ホスピスナース」といっておりますけれども、そういう死に直面した患者さんに心豊かな会話を通じて、そしてやさしく接してくださる看護婦さんの養成も日本看護協会と協力してやっております。昨今では大変志の高い看護婦さんたちが、自分たちの職場を捨ててでもこれを勉強したいという方々がたくさん出ていらっしゃいました。また、今回受講される看護婦さんで、お二人徳島県のかたでございますが、徳島県では市民の皆さん方が、私たちのそばにもっとすばらしい看護婦さんが必要だと、特に終末を迎えるにあたってのそういうホスピスナースが必要だということで、市民の皆さんが募金活動をして、二人の看護婦さんを送り込んでこられたということで、市民レベルでも、やはり大変大きな盛り上がりもここに起きてきているわけでございます。

 

 

 

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