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パネルディスカッション

『死』を見つめ、『今』を生きる

 

<パネリスト>

清水千世(坪井病院緩和ケア病棟婦長)

鈴木岩弓(東北大学大学院文学研究科教授)

田宮仁(飯田女子短期大学教授、ビハーラの会本部世話人代表)

波平恵美子(お茶ノ水女子大学人間社会科学科教授)

 

<コーディネーター>

南砂(読売新聞解説部次長)

 

司会:お待たせいたしました。ただ今より、パネルディスカッションを開始いたします。まず、パネリストの方々をご紹介いたします。

最初に東北大学大学院文学研究科教授の鈴木岩弓さんです。鈴木さんは宗教学、特に宗教人類学や宗教民俗学を専門分野として、民間信仰の方向性や信仰現象に絡む、人間の行動様式に興味を持って、墓を文化的営みとして捉えて、日本人の死生観の時代的変化の研究を続けていらっしゃいます。

続いて、坪井病院の緩和ケア病棟婦長の清水千世さんです。清水さんは東北で初めて緩和ケア病棟を設置した郡山市の坪井病院緩和ケア病棟で1990年から在宅ホスピスケアを担当され、1991年にハワイ・セントフランシス・ホスピスにて在宅を含むホスピスプログラムについて研修された後、1995年から看護婦長でいらっしゃいます。また、全国ホスピス緩和ケア病棟連絡協議会理事も兼務されていらっしゃいます。

続いて、御茶ノ水女子大学人間社会科学科教授の波平恵美子さんです。波平さんは医療人類学をテーマに文化人類学の視点から、看護、病気、死などについて、研究を続けていらっしゃいます。

続いて、飯田女子短期大学教授、ビハーラの会本部世話人代表の田宮仁さんです。田宮さんは仏教福祉学真宗学を専攻分野とされて、信仰と医療、特にターミナルケアについて研究を続けていらっしゃいます。仏教ホスピスに替わる言葉として「ビハーラ」を提唱され、1992年に新潟県の長岡西病院に日本唯一のビハーラ病棟を開設されました。早老病死の悩みに取り組む宗教、医療研究者と住民の集まり「ビハーラの会」で、本部世話人代表をされていらっしゃいます。

本日のコーディネーターをご紹介いたします。読売新聞解説部次長の南砂さんです。南さんは大学で医学を学ばれ、日本医科大学の精神医学の分野で助手を務められた後、読売新聞社に入社されました。医療、年金、福祉や教育を主な領域として、報道と解説の活動を続けていらっしゃいます。また、厚生科学審議会委員も務めていらっしゃいます。

それでは、これからの進行はコーディネーターの南さんにお願いいたします。では南さん、よろしくお願いいたします。

 

南:みなさん、こんにちわ。ようこそおいでくださいました。ご紹介いただきました、読売新聞の南です。これから正味100分なのですが、少し時間が押しておりますので短くなるかもしれません。立場の違う4人の先生方とご一緒に、今日のテーマで討論をうかがってまいりたいと思います。今まで日野原先生のお話、宮家先生のお話を、みなさまはどんなふうにお聞きになりましたでしょうか。「『死』を見つめ、『今』を生きる」というテーマです。私が読売新聞社に入りましてから16年になりますが、その間に「死」とか「生」そして「命」のことを取り上げる記事が本当に多くなりました。それが一般の方たちの非常に強い関心の対象になっているということを、私も日々実感として感じております。今日はぜひ先生方のお話の中から、みなさまなりに何かの糧や、新しい情報を聞き取って帰っていただきたいと思います。ぜひ和やかに進めていきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

それでは、始めに4人の先生方のご紹介も兼ねまして、それぞれのお立場から10分ないし15分くらいの持ち時間でご発言いただきたいと思います。まず始めは鈴木先生です。鈴木先生に、ご自身のお立場からの自己紹介も含めたお話をいただきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

 

 

 

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