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6. 高台から見る九十九里浜の姿

 

刑部岬

 

飯岡漁港の東側には屏風ヶ浦から続く高さ50mほどの切り立った崖が続いていますが、この崖はここ刑部岬から90度向きを変え内陸方向へと続いています。この崖面は約6,000年前の海食崖跡で、崖下に広がる九十九里平野は当時は海の中でした。その後、長い時間をかけて砂が堆積し現在の九十九里浜の姿があるわけですが、言い換えれば、九十九里浜の侵食は6,000年間続いてきた堆積作用が、ここ30年でとまったことを示しています。このように高台からの俯瞰は、海岸線を別の次元から大きなスケールで理解するためにも巡検では重要です。

 

【清野】 刑部岬展望台は飯岡漁港東側の海食崖の頂上にあります。この高台から九十九里浜方向を眺めると、浜全体を俯瞰することができます。このように高台から俯瞰することで、今日の巡検で局所的に見てきた九十九里浜の全体像を把握することができます。

この刑部岬という場所は地形的にも面白い所で、九十九里平野の形成過程を説明するのには良い場所です。土の色に注目していただくと、崖上の土は茶色で、関東地方の人には馴染み深い関東ローム層ですが、崖下は海の砂が堆積してできた土地ですから白っぽい砂地です。このように隣り合っていても、全く地形的に異なる形成過程を持っています。

 

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飯岡漁港沖から屏風ヶ浦方向を望む。屏風ヶ浦の崖上に広がる高台の台地と、飯岡漁港がある低い九十九里平野の地形的な違いが良くわかる。

海面の黒い帯が漂砂を含んだ沿岸流で、これを遮る格好の漁港防波堤の外側には砂浜が出現している。(2001年9月24日撮影)

 

 

 

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