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2000年(平成12年)

平成11年広審第52号
    件名
貨物船瑞慶丸乗揚事件(簡易)

    事件区分
乗揚事件
    言渡年月日
平成12年3月24日

    審判庁区分
地方海難審判庁
広島地方海難審判庁

釜谷奬一
    理事官
尾崎安則

    受審人
A 職名:瑞慶丸船長 海技免状:四級海技士(航海)
    指定海難関係人

    損害
船底外板に凹損

    原因
居眠り運航防止措置不十分

    主文
本件乗揚は、居眠り運航の防止措置が十分でなかったことによって発生したものである。
    理由
(事実)
1 事件発生の年月日時刻及び場所
平成10年4月1日03時45分
備讃瀬戸東部
2 船舶の要目
船種船名 貨物船瑞慶丸
総トン数 498トン
長さ 74.80メートル
機関の種類 ディーゼル機関
出力 735キロワット
3 事実の経過
瑞慶丸は、主に大分県大分港で鋼材を積載し、阪神諸港及び京浜港を揚地とする船尾船橋型の貨物船で、A受審人及びB指定海難関係人ほか3人が乗り組み、鋼材1,524トンを載せ、船首3.46メートル船尾4.52メートルの喫水をもって、平成10年3月31日14時50分大分港を発し、瀬戸内海を経由して千葉県千葉港に向かった。
A受審人は、船橋当直を4時間交替の単独輪番3直制に定め、毎0時から4時までの時間帯をB指定海難関係人、毎4時から8時までを一等航海士とし、自らは毎8時から12時までの時間帯に当直に当たるほか出入港時の操船、狭水道での操船に従事することにしていた。

ところで瑞慶丸の船橋には、警報音を発する居眠り警報装置が装備されていて、船橋当直者は一定の時間毎に作動する警報音を船橋左舷側上部に設けられた警報器アラームの押ボタンを操作することによって止め、その動作を繰り返すことで居眠り運航の防止に寄与するものであり、その設定時間間隔は30分毎に作動するよう設定されており、同装置が作動して一定時間押ボタンを操作しないと、警報音は、順次船長室、全船内に伝達されるようになっていた。
また、同船の就航は、年内でも3月が稼動の最盛期で、本航海は当月8度目の瀬戸内海の航行にあたり、船橋当直者の就労形態は船橋当直のほか揚、積み両荷役中も全員でそれぞれの作業分担に従って就労することになっており、比較的近距離間の就航である阪神諸港では、1日約6時間、京浜港のときは約8時間の休息が得られる状況となっていた。

こうして、A受審人は瀬戸内海を東行し、その後来島海峡航路を航過して23時45分高井神島灯台から273度(真方位、以下同じ。)1.7海里の地点に達したとき、B指定海難関係人と船橋当直を引き継ぐこととし、不安を感じたらいつでも報告する旨を告げて降橋して休息した。
B指定海難関係人は、その後備後灘を北東進し、備讃瀬戸南航路を海図記載の推薦航路に沿って東行し、翌4月1日03時19分男木島灯台から256度6.1海里の地点に達したとき、針路を備讃瀬戸東航路に沿う077度に定めて自動操舵とし、機関を11.5ノットの全速力前進にかけて、折からの順流に乗じて13.6ノットの対地速力で進行した。
当直に際してB指定海難関係人は、暖房の効いた船橋の右舷側窓枠の後方に置かれた背もたれ付きのいすに腰かけた姿勢となって当直にあたっていたところ、03時30分男木島灯台から256度3.6海里の地点に達したとき、予め設定していた前示警報器の警報音が作動したのを止めるため、いすから立ち上がって左舷側に行って押ボタンをリセットしたのち、再度いすにもどろうとしたとき急に眠気を感じたが、間もなくすれば当直の交替時間となるので、がまんすれば居眠りに陥ることはないと思い、立位で当直に従事するとか冷気にあたるとかの居眠り運航の防止措置をとらずに再度いすに腰かけて当直にあたるうちいつしか居眠りに陥った。

03時36分B指定海難関係人は、男木島灯台から255度2.3海里の備讃瀬戸東航路中央第3号灯浮標の南側を航過し、063度に転針する地点に差し掛かったが、居眠りしてこのことに気付かず、その後航路を外れて男木島北西端に向首したまま続航中、03時45分突然衝撃を受け、瑞慶丸は、男木島灯台から240度320メートルの浅所に原針路・原速力のまま乗揚げた。
当時、天候は晴で風力2の北東風が吹き、潮候は下げ潮の初期で付近には約2ノットの東流があった。
A受審人は、乗揚の衝撃で目覚め事後の措置にあたった。
乗揚の結果、瑞慶丸は、船底外板に凹損を生じたが、のち修理された。


(原因)
本件乗揚は、夜間、備讃瀬戸東航路を東行中、居眠り運航の防止措置が不十分で、男木島北西端の浅所に向首進行したことによって発生したものである。


(受審人等の所為)
B指定海難関係人が、夜間、単独の船橋当直に就き、備讃瀬戸東航路を東行中、眠気を催した際、居眠り運航の防止措置をとらずに居眠りに陥ったことは本件発生の原因となる。
B指定海難関係人に対しては、勧告しない。
A受審人の所為は、本件発生の原因とならない。






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