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2000年(平成12年)

平成10年神審第111号
    件名
プレジャーボート沙樹乗揚事件(簡易)

    事件区分
乗揚事件
    言渡年月日
平成12年3月15日

    審判庁区分
地方海難審判庁
神戸地方海難審判庁

佐和明
    理事官
坂本公男

    受審人
A 職名:沙樹船長 海技免状:一級小型船舶操縦士
    指定海難関係人

    損害
船底外板に3箇所の凹損

    原因
針路保持不十分

    主文
本件乗揚は、針路の保持が十分でなかったことによって発生したものである。
受審人Aを戒告する。

適条
海難審判法第4条第2項、同法第5条第1項第3号
    理由
(事実)
1 事件発生の年月日時刻及び場所
平成10年9月14日19時00分
京都府舞鶴湾
2 船舶の要目
船種船名 プレジャーボート沙樹
全長 8.35メートル
機関の種類 ディーゼル機関
出力 83キロワット
3 事実の経過
沙樹は、FRP製プレジャーボートで、A受審人が1人で乗り組み、同人の兄を同乗させ、船首0.4メートル船尾0.5メートルの喫水をもって、平成10年9月14日15時00分舞鶴港第3区三本松鼻灯台から232度(真方位、以下同じ。)1.3海里の吉田地区係留場所を発し、若狭湾西部にある冠島周辺の釣り場に向かった。
A受審人は、16時ごろ釣り場に至って同乗者とともにひらまさなどの一本釣りを行っていたところ、17時ごろ同乗者が甲板上に転倒して腰を強打したので、操舵室内で休ませ、やがて、同人が腰の痛みを訴え始めたため釣りを中止し、18時00分丹後鷲埼灯台から068度7海里の釣り場を発進して帰途についた。

18時53分A受審人は、博奕岬灯台から244度1,200メートルの地点に達したとき、針路を舞鶴港金ケ埼東方灯浮標(以下、灯浮標の名称については「舞鶴港」を省略する。)を船首方向わずか右に見て舞鶴港の航路入口に向く178度に定め、機関を半速力前進にかけて15.0ノットの対地速力で手動操舵により進行した。
18時57分少し過ぎA受審人は、金ケ埼東方灯浮標を右舷側100メートルに通過して航路に入航したとき、針路をアモ瀬灯浮標を船首方向わずか右に見る157度に転じ、航路に沿って続航した。
A受審人は、すでに暗くなっており、吉田地区の係留場所に進入する際、前方を照射するサーチライトが必要であったので、その準備をすることとしたが、当時、両側から陸岸が迫っている航路内を航行中であったから、針路を逸脱して陸岸に接近することのないよう、吉田地区に近づいてから機関を停止して準備作業に当たるなど、針路の保持に専念することなく、わずかの間だから大丈夫と思い、18時59分操舵輪から手を離してライターを点火しその明かりでサーチライトのスイッチの位置を確認するなどの準備を始めた。

間もなく沙樹は、急速に右回頭を始めて陸岸に向首する態勢となったが、A受審人は、これに気付かず、19時00分作業を終えた直後、船首を235度に向けた状態で、三本松鼻灯台から315度1,450メートルの浅礁に原速力のまま乗り揚げた。
当時、天候は晴で風力1の北風が吹き、潮候は上げ潮の中央期であった。
乗揚の結果、船底外板に3箇所の凹損を生じたが、のち陸送のうえ修理された。


(原因)
本件乗揚は、夜間、両側から陸岸が迫った舞鶴湾湾口部の航路内を手動操舵により航行中、針路の保持が不十分で、船体が右回頭しながら陸岸に向け進行したことによって発生したものである。


(受審人の所為)
A受審人は、夜間、両側から陸岸が迫った舞鶴湾湾口部の航路内を手動操舵により航行する場合、針路を逸脱して陸岸に接近することのないよう、針路の保持を十分に行うべき注意義務があった。ところが、同人は、操舵輪から手を離して入航準備に当たるなど、針路の保持を十分に行わなかった職務上の過失により、船体が右回頭しながら陸岸に向け進行して乗り揚げ、船底外板に凹損を生じさせるに至った。






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