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2000年(平成12年)

平成12年那審第6号
    件名
漁船第八正丸乗揚事件

    事件区分
乗揚事件
    言渡年月日
平成12年9月8日

    審判庁区分
地方海難審判庁
門司地方海難審判庁那覇支部

清重隆彦、金城隆支、花原敏朗
    理事官
平良玄栄

    受審人
A 職名:第八正丸船長 海技免状:一級小型船舶操縦士
    指定海難関係人

    損害
推進器翼に曲損及び船尾船底に擦過傷

    原因
水路調査不十分

    主文
本件乗揚は、水路調査が十分でなかったことによって発生したものである。
受審人Aを戒告する。
    理由
(事実)
1 事件発生の年月日時刻及び場所
平成11年7月2日04時30分
沖縄県那覇港西方沖合
2 船舶の要目
船種船名 漁船第八正丸
総トン数 19.96トン
登録長 14.90メートル
機関の種類 ディーゼル機関
出力 294キロワット
3 事実の経過
第八正丸は、まぐろ延縄漁に従事するFRP製漁船で、A受審人ほか4人が乗り組み、操業の目的で、船首1.4メートル船尾2.4メートルの喫水をもって、平成11年6月20日10時00分沖縄県糸満漁港を発し、同県久米島北東方において漁を行い、まぐろ約3トンを獲り、翌7月1日23時00分北緯26度48分東経126度50分の地点を発進して糸満漁港への帰途に就いた。
A受審人は、発航後いったん降橋し、翌2日02時00分粟国島灯台から198度(真方位、以下同じ。)4.6海里の地点で再び昇橋して単独で船橋当直に就き、引き続き134度の針路及び8.6ノットの対地速力で自動操舵によって進行した。

04時20分A受審人は、端島灯台から321度1.7海里の地点で、レーダー映像のほか右舷船首方にぼんやりと視認できた同島の見え具合から、南東方に流れる潮流によって圧流され、いつもの進路模様から右偏してハテ島に接近していることを知ったとき、同島から北方にかけて拡延しているさんご礁帯に向首していたが、同島は島の近くまで深くなっているものと思い、備付けの海図に当たって同島周辺の水路調査を行わなかったので、このことに気付かなかった。
第八正丸は、同じ針路及び速力で続航し、04時30分端島灯台から351度500メートルのさんご礁に乗り揚げた。
当時、天候は晴で風力3の南風が吹き、潮候は上げ潮の中央期であった。
乗揚の結果、推進器翼に曲損及び船尾船底に擦過傷を生じ、僚船に引き下ろされ、のち修理された。


(原因)
本件乗揚は、那覇港西方沖合を糸満漁港に向け帰港中、いつもの進路模様から右偏してハテ島に接近していることを知った際、水路調査が不十分で、ハテ島北方に拡延するさんご礁帯に向首進行したことによって発生したものである。


(受審人の所為)
A受審人は、単独で船橋当直に就き、那覇港西方沖合を糸満漁港に向け帰港中、いつもの進路模様から右偏してハテ島に接近していることを知った場合、同島の北方にはさんご礁帯が拡延していたのであるから、これに乗り揚げないよう、備付けの海図に当たって水路調査を行うべき注意義務があった。しかるに、同人は、島の近くまで深くなっているものと思い、備付けの海図に当たって水路調査を行わなかった職務上の過失により、同島の北方にさんご礁帯が拡延していることに気付かず、これに向首進行して乗揚を招き、推進器翼に曲損及び船尾船底に擦過傷を生じさせるに至った。
以上のA受審人の所為に対しては、海難審判法第4条第2項の規定により、同法第5条第1項第3号を適用して同人を戒告する。


よって主文のとおり裁決する。






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