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2000年(平成12年)

平成11年横審第67号
    件名
遊漁船第11甚四郎丸遊漁船丸勝丸衝突事件

    事件区分
衝突事件
    言渡年月日
平成12年1月19日

    審判庁区分
地方海難審判庁
横浜地方海難審判庁

半間俊士、長浜義昭、西村敏和
    理事官
小金沢重充

    受審人
A 職名:第11甚四郎丸船長 海技免状:二級小型船舶操縦士(5トン限定)
B 職名:丸勝丸船長 海技免状:四級小型船舶操縦士
    指定海難関係人

    損害
甚四郎丸・・・船首部に亀裂を伴う損傷
丸勝丸・・・・船尾部に損壊、釣り客2人が骨折や打撲など傷を負った。

    原因
甚四郎丸・・・見張り不十分、船員の常務(避航動作)不遵守(主因)
丸勝丸・・・・見張り不十分、注意喚起信号不履行(一因)

    主文
本件衝突は、第11甚四郎丸が、見張り不十分で、錨泊中の丸勝丸を避けなかったことによって発生したが、丸勝丸が、見張り不十分で、注意喚起信号を行わなかったことも一因をなすものである。
受審人Aを戒告する。
受審人Bを戒告する。
    理由
(事実)
1 事件発生の年月日時刻及び場所
平成10年12月12日12時27分
千葉県白浜港東方沖合
2 船舶の要目
船種船名 遊漁船第11甚四郎丸 遊漁船丸勝丸
総トン数 4.96トン 1.00トン
登録長 11.07メートル 7.52メートル
機関の種類 ディーゼル機関 ディーゼル機関
出力 308キロワット 33キロワット
3 事実の経過
第11甚四郎丸(以下「甚四郎丸」という。)は、モーターサイレンを装備した、最大搭載人員18人のFRP製遊漁船で、A受審人が単独で乗り組み、釣り客13人を乗せ、遊漁の目的で、船首0.60メートル船尾1.50メートルの喫水をもって、平成10年12月12日06時00分千葉県白間津漁港を発し、同県野島埼南南東方沖合の釣り場に向かった。
A受審人は、06時20分ごろ釣り場に着いて遊漁を始め、時々釣り場を移動しながら遊漁を続けたのち、帰港することとし、12時15分操舵室中央の操舵輪の後方に立ち、野島埼灯台から146度(真方位、以下同じ。)2.0海里の地点で、針路を白津間漁港沖に向かう039度に定め、機関を全速力前進にかけ、13.5ノットの対地速力とし、手動操舵で発進した。

A受審人は、発進時に前路2海里ばかりの間に5、6隻の遊漁船が点在していたので、注意しながら進行し、12時24分半安房白浜港灯台(以下「白浜港灯台」という。)から170度1,400メートルの地点に達して遊漁船群を替わり終えたとき、左方の千葉県乙浜漁港から出て来た小型漁船を認め、自船の前路を右方に横切る態勢であったことから同船に注意視して続航した。
12時26分少し前A受審人は、白浜港灯台から147度1,100メートルの地点に達したとき、正船首500メートルのところに船尾にスパンカーを展帆して錨泊中の丸勝丸を認め得る状況であったが、左舷方から接近する前示漁船に気を奪われ、前方の見張りを十分に行うことなく進行し、その後丸勝丸に向首して衝突のおそれのある態勢で接近していたことに気付かず、錨泊中の同船を避けないまま続航中、同時27分わずか前船首至近に丸勝丸の船尾にあるスパンカーを初めて認め、機関を後進としたが間に合わず、12時27分白浜港灯台から120度1,050メートルの地点において、甚四郎丸は、原針路、原速力のまま、その船首が丸勝丸の船尾外板右舷側に後方から6度の角度で衝突した。

当時、天候は晴で風力2の北東風が吹き、潮候は下げ潮の初期であった。
また、丸勝丸は、全長が12メートル未満のモーターホーンを装備した、最大搭載人員6人のFRP製遊漁船で、B受審人が単独で乗り組み、釣り客2人を乗せ、遊漁の目的で、船首0.25メートル船尾0.40メートルの喫水をもって、同日09時10分乙浜漁港塩浦泊地を発し、野島埼東南東方沖合のオーサ根付近の釣り場に向かった。
B受審人は、09時15分釣り場に着き、漂泊して11時ごろまで遊漁を行い、釣果が上がらなかったことから、前示衝突地点付近に移動したのち1時間ばかり遊漁を続け、昼食のために錨泊することとし、12時17分前示衝突地点で、船首から約8キログラムの四つめ錨を投じ、直径約30ミリメートルの合成繊維製錨索を約60メートル延出し、船首部にある高さ3メートルのマストの頂部に黒色球形形象物を掲げ、船尾にスパンカーを展帆したまま錨泊を始めた。

B受審人は、投錨後、釣り客と5分ばかり雑談をしたあと、船首が風に立って045度を向いた状態で、船首部に赴き、船尾を背にした姿勢で後片付けを始め、12時26分少し前ほぼ船尾方500メートルのところに甚四郎丸を認め得る状況であったが、まさか錨泊している自船に接近して来る船はないものと思い、周囲の見張りを十分に行わなかったので、甚四郎丸が自船に向首して衝突のおそれのある態勢で接近して来ることに気付かず、甚四郎丸に対してモーターホーンを吹鳴するなど、避航を促すための注意喚起信号を行わないまま後片付けを続け、同時27分少し前何気なく船尾方を見たとき、船尾至近に甚四郎丸の船首を初めて認め、大声で叫んだものの、前示のとおり衝突した。
衝突の結果、甚四郎丸は、船首部に亀裂を伴う損傷を、丸勝丸は、船尾部に損壊をそれぞれ生じたが、のちいずれも修理され、衝突の衝撃でB受審人及び丸勝丸の釣り客2人が海に投げ出され、甚四郎丸及び通りかかった漁船に救助されたが、同釣り客2人が骨折や打撲など傷を負った。


(原因)
本件衝突は、千葉県白浜港沖合において、同県白間津漁港に向けて帰航のために航行中の甚四郎丸が、見張り不十分で、前路で錨泊中の丸勝丸を避けなかったことによって発生したが、丸勝丸が、見張り不十分で、注意喚起信号を行わなかったことも一因をなすものである。


(受審人の所為)
A受審人は、千葉県白浜港沖合において、同県白間津漁港に向けて帰航のために航行する場合、前路で錨泊している他船を見落とさないよう、前路の見張りを十分に行うべき注意義務があった。しかし、同人は、左舷方から前路を横切る態勢で接近する小型漁船に気を奪われ、前路の見張りを十分に行わなかった職務上の過失により、前路で黒色球形形象物を掲げて錨泊中の丸勝丸に気付かず、同船を避けないまま進行して衝突を招き、甚四郎丸の船首部に亀裂を伴う損傷を、丸勝丸の船尾部に損壊をそれぞれ生じさせ、丸勝丸の釣り客2人に骨折や打撲など傷を負わせるに至った。
以上のA受審人の所為に対しては、海難審判法第4条第2項の規定により、同法第5条第1項第3号を適用して同人を戒告する。
B受審人は、千葉県白浜港沖合において遊漁中、昼食をするために錨泊をする場合、接近して来る他船を見落とさないよう、周囲の見張りを十分に行うべき注意義務があった。しかし、同人は、錨泊している自船に接近して来る船はないものと思い、周囲の見張りを十分に行わなかった職務上の過失により、自船に向首接近して来る甚四郎丸に気付かず、注意喚起信号を行わないまま、船首部付近の後片付けを行って衝突を招き、両船に前示の損傷を生じさせ、丸勝丸の釣り客に傷を負わせるに至った。

以上のB受審人の所為に対しては、海難審判法第4条第2項の規定により、同法第5条第1項第3号を適用して同人を戒告する。

よって主文のとおり裁決する。

参考図






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