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7. まとめ

7.1 高効率熱交換器

排気エネルギー回収システムの研究では作動流体を高温ガスと低温ガスとし、熱交換通路の熱通過率を計算した。その結果、熱交換効率を上昇させるためにはガス接触面の面積を大幅に増加させることが最も有効であることが判った。その構造としてガス流路側の構造を多孔質金属とすることが最適であるので、多孔質材と平板が密着した熱流構造を成立させるために多孔質材と平板の接合を試みた。その結果、上記接合が出来たので熱交換器の交換熱量を通常のフィン式熱交換器と比較し、4.7倍まで増加させることが出来る見通しを得た。

 

7.2 高効率タービン

高効率タービンの開発ではタービン翼の流路抵抗を計算により求め、動翼の出口角を55度から30度にすることにより流失損失を10%から4%に低減できることが判った。また、タービンの性能に大きく影響するタービンスクロールとタービン入り口の流入角を変えてその性能を調べるため、新規のタービンスクロールと各種静翼ノズルを作製した。その結果、上記3部品の最適仕様を組み合わせることにより、タービン効率80%を得た。

 

7.3 遮熱形エンジン

遮熱形エンジンの構造では燃焼室の外壁部に空気層を設けること、燃焼室とシリンダーボディー側の固定部に多重積層ガスケットを設けることにより大幅な熱放散を遮断できる事を計算により見出した。しかし、今回のエンジンの試作では実験での信頼性を重要視するために燃焼室など主要部品の材料をガスタービンエンジンなどに使用されているニッケル、クローム鋼を用いたため水冷エンジンの放熱量を100%として、遮熱構造により遮断出来た熱量割合は63%となり、セラミック材で構成した遮熱エンジンでの値である70%に比較し、7%劣化した。

本エンジンは熱効率を良くする為に、天然ガスを燃料とするディーゼルエンジン方式を用いたが、その着火が困難と予想された。そこで、着火源を副室とした予混合圧縮着火ディーゼル方式とすべく、燃料供給を低圧(0.5MPa)で吸気管から80%、副燃焼室から20%とする構造を考案し、製作した。

このエンジンを製作し、運転を行ったところ、軽いノッキングが発生したが運転することが出来た。このノッキングはEGR制御、主室と副室の燃料割合などによって変化するので今後その調整を行うことにした。

次いで、本エンジンの最終的性能の目標値を明確にするため、エンジンシステムの熱エネルギーの流れを明らかにし、全体システムの熱効率を計算により求めた。構成するそれぞれの効率を悪目に見積もり、計算したその効率は61%となった。

 

 

 

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