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外交的に見てみましても、彼らは、いろいろな国々と正常化のプロセスに着手しながら、韓国と首脳会談をやっています。

最後に1点申し上げたいことがあります。多くのアナリストたちは、近年ちょっとだらしなかったと思います。表面的な分析ばかりやってしまったと思います。次のようなやり方です。北朝鮮は飢饉に陥っている。だから、政権は崩壊するだろう。そして、みんないつ崩壊するかなど、待っていたわけです。先週でもいいのに、来週かなと。

私の歴史の経験からいえば、飢饉のときには政治は変わらないということです。人々のエネルギーはそういった状況では、食糧を得るということにすべて結集してしまいます。政治活動をする余力がありません。政治的な変化が起こるとすれば、それは飢饉のあとです。

状況が安定化し、実際に改善の道のりに乗ったときです。そうなりますと、人々は1歩下がって、そして、そこで責任者はだれなんだということを考え始めます。

北朝鮮は、今の段階で少し安定化が始まって、あるいは、改善さえ始まっているかもしれません。政府は一連の変化を考えているかもしれません。少なくとも、限定的に北朝鮮の社会を変えようという動きに、着手しているかもしれません。しかし、逆説的に私の見るところでは、これからの5年間がより危険な時代になるのではないかということです。北朝鮮の不安定性の可能性というのは、これまでの5年よりも高くなるんではないかと考えます。

どうもご清聴ありがとうございました。ここで、コメンティターのご意見を楽しみにしたいと思いますし、そのあと、皆さまのご質問をお受けしたいと思います。ありがとうございました。

 

 

 

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