司会 それでは、大変お待たせいたしました。本日、第21回目のアフタヌーンセミナーを開催させていただきます。
ご案内にも書きましたとおり、本日は、「ビジネスモデルを通じた産業のダイナミズム:アメリカIT産業の成功要因」という題名で、緒方真一さんにお話をいただきます。
緒方さんは、現在、株式会社ビジネス工房の代表取締役でございまして、今年、ご自身で独立されて始められた会社とうかがっております。私自身、完全な文系人間で、ITとは全く門外漢です。できるだけわかりやすくお話をしてくださいと、緒方さんにはお願いしております。
その一方で、本日の出席者の方は、専門家の方も多いとお見受けいたしました。大体、45分から1時間ぐらい、緒方さんにお話しいただきます。そして、残りの30分で、皆さんに質疑応答という形で、活発に議論に参加していただきたいと思います。それでは、緒方さん、よろしくお願いいたします。
2. 講師報告
緒方 こんにちは。ビジネス工房の緒方と申します。よろしくお願いいたします。こういう場で、お話をさせていただく機会を設けていただきまして感謝しております。今日、お話をさせていただきますのは、「ビジネスモデルを通じた産業のダイナミズム」、副題として「アメリカIT産業の成功要因」というものです。
財団から、最初にお話をいただいたときは、こちらは政策シンクタンクといいますか、そういうものを検討しているので、政策に関連したお話をということでした。私の専門は情報通信の分野です。株式会社ビジネス工房を立ち上げる前は、15年程SRI(旧スタンフォード研究所)というところでコンサルティングをしておりました。そこでの経験からIT産業と政策はあまり関係がない、何も政策なしに自由にやらせるのがいいのではとお話ししました。が、そういう話でもかまわないからということですので、私の経験、個人の意見も踏まえて、お話しさせていただければと思います。
私は、数学出身です。数学は、日本の分類では理系に入りますが、私自身は、理系の中でも文系的で、あまり理学部的発想というのがありません。ですから、その辺にはこだわらないでお話ししたいと思います。
今日のお話を、三つに分けたいと思います(資料1頁)。最初に、「ITがもたらす変革」ということで、ざっとIT産業、あるいはIT技術が、どのような変革を起こしているのかについて、少し整理をします。