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そして翌日の6月22日、この合意事項に基づき参議院本会議において、以下の「国際開発協力に関する決議」が全会一致で可決された。これまで経済協力及びODAに関する決議は衆参両院で5本あるが、4本は委員会レベルであり、本会議レベルではこの決議が唯一のものである。行政に対する国会の意思、すなわち国民の総意であるとの意味において、その意義は極めて大きいと言えよう。

 

国際開発協力に明する決議

今日、国際社会におけるわが国の役割と責任は一層重大となっており、今後果たすべき国際的貢献に大きな期待が寄せられている。

また、自ら軍事大国になることなく、国際平和と諸国民の経済的繁栄に貢献することを外交の基本とするわが国にとっても国際開発協力の重要性は一段と増大している。

よって、本院は、国際開発協力に対する関与を強めることとし、このためこれに関し審議する場が必要である。

政府においては、平成元年6月21日、本院外交・総合安全保障に関する調査会において合意をみた、国際開発協力の理念・目的と諸原則に基づき行うこと、ODAの量的拡充及び質的改善を図ること、国際開発協力行政及び実施体制等の充実を期すること、国会と行政府との関係を強めること、国民の理解と協力を得るよう適切な措置を講ずること、の各事項に基づき、適正かつ効率的な施策の推進に最善の努力を払うべきである。

右決議する。

 

91年4月10日、参議院予算委員会において、海部首相は「開発途上国の軍事支出等と援助の在り方」(ODA4指針)を発表した(14)。その内容は、1]軍事支出の動向、2]大量破壊兵器の開発製造等の動向、3]武器輸出入の動向、4]民主化の促進、市場指向型経済導入の努力、基本的人権及び自由の保障状況という諸点に注意を払いながら、2国間関係、被援助国の安全保障環境も含めた国際情勢、被援助国のニーズ、経済社会状況などを総合的に判断し、ODA実施に当たる、というものである。これは、90年8月からの湾岸危機・戦争に対応した形でODAの在り方を問われていた政府が、基本姿勢を示したものと言えよう。

 

 

 

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